南シナ海問題 インドネシア、対中強硬に転換 ASEAN内に亀裂深まる 2016/07/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「南シナ海問題 インドネシア、対中強硬に転換 ASEAN内に亀裂深まる」です。





 【ジャカルタ=鈴木淳】南シナ海の領有権を巡る問題で、中立的な立場を取ってきたインドネシアが対中強硬論に傾いてきた。ジョコ大統領は23日、南シナ海南端のナトゥナ諸島を訪問し警備強化を訴えた。同諸島沖の同国の排他的経済水域(EEZ)を「伝統的な漁場」と主張する中国への反発を強める。インドネシアの姿勢変化で東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国は対中けん制に傾き、一部加盟国との間の亀裂が深まる。

23日、インドネシア海軍の艦船で南シナ海を視察するジョコ大統領(右)=大統領府提供

 ジョコ氏は23日、ナトゥナ諸島を訪問し、海軍艦船で南シナ海を視察、艦上で閣議を開いた。大統領府は表向きは地域の経済開発を議論するためとしている。だが、インドネシアの権益を侵害する中国への強いけん制であることは明らかだ。ジョコ氏は閣議で「国軍と海上保安庁は海上の警備をより強化する必要がある」と述べた。

 ジョコ氏の訪問の引き金となったのは、17日に発生した中国漁船によるEEZ内での違法操業事案だ。特に19日の中国外務省報道官の発言がインドネシア側の怒りに火を付けた。同海域を「中国の伝統的な漁場」としたうえで「両国の海洋の権利権益の主張が重なり合う場所で起こった」と権利を主張したからだ。

 中国側は今年3月に同海域で中国漁船が摘発された際に、同海域が「中国の伝統的な漁場」だと初めて主張した。国際法上の根拠は示しておらず、インドネシア側には暴論と映る。ルトノ外相は「国際法上認められない」と強く反発した。

 これまでインドネシアは、南シナ海問題への深入りを避けていた。だが、強引な中国の対応に態度を硬化させている。

 国軍は22日、ナトゥナ諸島沖の監視に無人飛行機(ドローン)を投入すると発表した。スシ海洋・水産相も21日の記者会見で「どこの国の船であれEEZ内の違法操業は泥棒だ」と述べ、7月にも別の中国漁船を含む16隻を爆破処分する考えを表明した。

 ジョコ氏の訪問は中国の主張への反発に加え、国内事情も絡む。ジョコ氏は国軍出身ではないため、野党などから「国をうまく防衛できないのでは」との批判を受けてきた。事案発生直後の訪問でこうした懸念を払拭したいとの思いもにじむ。

 南シナ海の領有権を巡りフィリピンが起こした仲裁裁判の判決が近く出るのを前に、ASEAN主要国は対中けん制でまとまりつつある。ただ経済発展の度合いや政治体制の異なるASEANは域内対立を起こさない知恵として全会一致での意思決定を原則とする。

 カンボジアのフン・セン首相が「仲裁裁判の判決がどうであれ、カンボジアは支持しない」と表明するなど加盟国間の亀裂も表面化し、南シナ海問題でASEAN全体としての意思表示ができるかは予断を許さない。



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