危機創出、現状打破狙う 米ブルッキングス研ブッシュ氏に聞く 2013/11/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「危機創出、現状打破狙う 米ブルッキングス研ブッシュ氏に聞く」です。





 中国による沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空での防空識別圏(ADIZ)設定を受け、日米両国が反発し、双方の緊張が高まっている。バイデン米副大統領の来月2日からの日中韓3カ国歴訪では尖閣問題が焦点になる。オバマ政権のアジア政策に影響力を持つ米ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ北東アジア政策研究センター所長に聞いた。

 ――中国がADIZを設け、挑発のレベルを上げました。

 「尖閣諸島の現状を徐々に変えようとする行動の一環だ。このADIZを中国空軍がどう使うかが今後のカギになる。米国は、中国による挑発は日中の偶発的な衝突の可能性をはらみ非常に危険だとみている。米国は挑発をやめるよう警告し、ケリー国務長官らが懸念を伝えた。中国の挑発行為は米国を怒らせている」

 ――米メディアの一部は、オバマ政権の中国への弱腰が尖閣問題の長期化を招いていると批判しています。

 「尖閣問題の長期化は中国が尖閣の現状変更に執着しているからだ。ADIZ設定などで危機をあえてつくり出そうとしているのもそのためだ。米軍はアジアだけでなく、世界全体をみている。2国間の領土問題では北方領土を除き、基本的に立場を取らないが、尖閣が米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の対象であるのは明確だ」

 ――中国は、東シナ海での原子力潜水艦の行動範囲を広げるために尖閣にこだわっているとの見方があります。

 「中国はまだそれほど多くの原潜を保有していない。米国の方がはるかに多くの原潜を持ち、即座に中国の周辺海域に派遣できる。中国の原潜がすぐに安保上の脅威になるとは考えないが、米軍も自衛隊も周辺海域の力学の変化を注意深くみる必要がある」

 ――オバマ氏が掲げるアジア重視の外交は「看板倒れ」ではありませんか。

 「アジア外交を補強する今回のバイデン氏のアジア訪問がその質問への答えだ。東アジアの平和と安定のため日韓両国と米国との関与について話し合い、中国とは東アジア安定への貢献を求めるだろう。いったん決断したシリアへの軍事行動をオバマ氏が見送ったのは正しい判断だったが、アジア諸国に米外交の真意をいぶかる声があったのは確かだ」

 「バイデン氏はそのアジア諸国の疑問を解きに訪問するのだ。(欧米とイランが合意した高濃縮ウランの製造停止で)近隣やペルシャ湾岸諸国の不安定要因が減れば、米国がアジアに一段と関与できることになるだろう」

(ワシントン=吉野直也)

 リチャード・ブッシュ氏 1978年米コロンビア大で博士号取得。95~97年米国家情報会議(NIC)で東アジア担当。1997~2002年米国在台湾協会理事長。02年より現職。66歳。



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