原油増産凍結、政治対立が影 サウジがイラン参加に固執 2016/04/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合2面にある「原油増産凍結、政治対立が影 サウジがイラン参加に固執」です。





 【ドーハ=久門武史、黄田和宏】サウジアラビア、ロシアなど主要産油国18カ国が17日にカタールのドーハで開いた会合は原油の増産凍結に合意できず不発に終わった。欠席したイラン抜きでの合意をサウジアラビアがかたくなに拒否。中東での覇権争いで鋭く対立する両国が、価格維持という「共通の利益」より自国の市場シェアを優先した。両国が参画する石油輸出国機構(OPEC)はこれまで世界の原油需給の調整役を担ってきたが、その機能不全ぶりは一段と深まっている。

 「最後の最後に態度を変えた国がある」。ロシアのノワク・エネルギー相は計12時間に及んだマラソン会合の後、名指しは避けつつもサウジへのいら立ちをにじませた。

 イランは核開発問題に対する国際社会からの経済制裁が1月に解けた。かつて日量400万バレルあった産油量は制裁下で280万バレルに落ち込んでいたが、早期に制裁前の水準に戻す方針を示した。

 一方、原油価格の低迷に業を煮やしたサウジは2月にロシア、カタールなど3カ国と増産凍結に暫定合意。産油国間での幅広い合意を目指す中でイランにも参加を要求した。OPEC加盟国同士だが溝が深い両国の間で非OPECのロシアなどがお膳立てに動いた。

 1月の産油量を10月まで据え置く「紳士協定」で合意を演出する――。これが17日の会合の筋書きだったようだ。ノワク氏は直前に「参加したくない国に強制する者はいない」と語り、サウジがイラン抜きでも増産凍結に応じる見通しを示唆した。合意へ期待が高まり、1月に1バレル27ドルと約12年ぶりの安値をつけた北海ブレント原油は、一時45ドル近くまで上昇した。

 予想を裏切り、なぜ合意は見送られたのか。伏線は2日前にあった。

 15日、イスラム協力機構(OIC)はトルコで開いた首脳会談で、イランの「内政干渉」を非難する共同声明を採択。イスラム教シーア派の大国イランが、シリアやイエメンなどスンニ派人口が多い周辺国でシーア派勢力を支援する動きをけん制した。非難声明をスンニ派の盟主サウジが主導したのは明らかだ。

 イランは猛反発した。産油国会合に当初、石油相の代理を派遣すると伝えられていたが、ザンギャネ石油相が「合意に署名しないのだから出席の必要はない」と言明したのは非難声明の翌日だ。

 原油価格を押し上げるため合意を優先するとみられながら、最後はイラン不参加を理由に合意を見送ったサウジ。油価上昇は自国にプラスだが、増産を続けるイランは二重に恩恵を受ける。宗派対立で1月に国交を断絶したイランという「敵」に塩は送れない、との判断が働いたようだ。

 非加盟国を加えた増産凍結が実現していれば、OPECにとり歴史的な転換点となり得た。合意に失敗して加盟国間の亀裂は広がり、協力を求めたロシアとも不協和音が目立ち始めた。

 OPECは6月2日の次回総会で凍結を再協議するが、関係国の間の溝が埋まる見通しは立っていない。

 むしろイランの増産に対抗してシェア争いが再び激化し「OPECが予想外に増産に動くというリスクが高まっている」と、モルガン・スタンレーのエネルギー商品調査責任者、アダム・ロングソン氏は警戒する。

 実際、サウジのムハンマド副皇太子は、同国の原油生産量を現在の日量1000万バレル強からすぐに同1100万バレル以上に増やせると発言。OPEC加盟国が協調を放棄して増産に走れば、原油相場の長期低迷の出口はますます見通せなくなる。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です