原油安、ドル押し上げ観測 OPEC減産見送り背景 イラン制裁解除が焦点 2015/06/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「原油安、ドル押し上げ観測 OPEC減産見送り背景 イラン制裁解除が焦点」です。





 軟調な原油相場がドル相場を押し上げるとの見方が出始めた。供給過剰から一進一退を続けてきた原油価格が、石油輸出国機構(OPEC)が5日決めた減産見送りなどを背景に再び下落する可能性が出てきたためだ。過去の傾向をみると、原油安は欧州のインフレ期待を冷まし、ユーロ安・ドル高につながりやすい。米利上げ観測を背景に進むドル高を勢いづかせるかもしれない。

 5日のニューヨーク外国為替市場で一時1ドル=125円86銭と13年ぶりの安値をつけた円相場は、8日の東京市場でも125円台で推移した。

 クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は「最近の円安・ドル高が加速するかもしれない」と指摘する。一因に挙げるのが原油価格の動向だ。

 OPECは5日の総会で、生産目標の据え置きを決めた。加盟国が北米のシェールオイルにシェアで対抗するのを後押しするためだ。

 原油価格の代表的な指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は3月半ばにつけた1バレル43ドル台を底に、5月初めには約5カ月ぶりに60ドル台を回復。ここ1カ月は60ドル前後でほぼ横ばいだ。今回の減産見送りでWTIが50ドル台前半に下がると予想する専門家もいる。

 さらにOPEC主要加盟国のイランは、6月末に期限が迫る核協議で米欧など6カ国と最終合意に達すれば、経済制裁が解かれ、石油を再び輸出できるようになる。イラン当局は「半年で日量100万バレルを増産する」と発言しており、米エネルギー情報局(EIA)はイラン制裁解除で、2016年の価格が見通しより1バレルあたり5~15ドル下回るとの予測を示す。

 原油価格の動向はロシアルーブルやカナダドル、ノルウェークローネなど産油国通貨の浮き沈みに直結しているが、主要通貨のドルやユーロとも連動しやすい。

 原油価格が上がると、欧州のインフレ期待が高まりユーロが買われ、ドルが売られるためだ。株高などで市場参加者がリスクを取りやすくなると、ドルや円を手放して原油やユーロを買う動きが広がるという面もある。

 例えば、WTIが08年7月に過去最高の1バレル145ドル台をつけた時、ユーロも対ドルで最高値となる1ユーロ=1.6ドル台を記録。昨夏以降の原油安では逆の流れになった。

 原油価格が下落基調をたどれば「一時的なユーロ高がおさまり、ドル高が勢いづく可能性がある」(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)。欧州のインフレ期待が弱まれば、債券市場にも影響が出そうだ。マネックス証券の山本雅文氏は「欧州発で起きた世界的な金利上昇がいったん落ち着く」と語る。

 ただ投資マネーが原油相場から逃げ出すようなリスク回避の志向が強まれば、為替はドル高とは異なる方向に動く可能性もありそうだ。山本氏は「原油価格の急落をうけリスクを避けるムードが強まれば、海外投機筋が積み上げた円売り持ち高を再び解消し、円買い圧力を強める可能性もある」と指摘する。

(川手伊織)

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