台湾新政権、波乱の船出 国民党が演説ボイコット 日米との関係強化策巡り対立 2016/06/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「台湾新政権、波乱の船出 国民党が演説ボイコット 日米との関係強化策巡り対立」です。





 【台北=伊原健作】5月に発足した台湾の蔡英文政権が波乱の船出となっている。米国産豚肉の輸入解禁をはじめ米国や日本との関係の強化に向けた政策を巡り、野党・国民党が激しく反発し、議会運営が混乱した。中国への過度な傾斜を軌道修正する政策をめざすものの、台湾内部をまとめる指導力を発揮できるかどうかが課題となる。

林行政院長の演説に対するボイコットで、国民党の議員席(右手前)は空になった(3日、台北市)

 3日、台北市の立法院(国会)の議場。民主進歩党(民進党)政権の林全・行政院長(首相)が施政方針演説を始める直前、国民党の立法委員(議員)全員が席を立ち、事実上ボイコットした。

 演説は本来、3日前の5月31日に実施するはずだったが、国民党の委員が発言席を占拠・妨害したため、見送られた。争点は、台湾が食品安全の観点から禁じている成長促進剤を使用した米国産豚肉の輸入解禁問題だ。発言席に殺到した委員は「解禁しないと確約しないかぎり、演説はさせない」と主張した。

 蔡政権は経済再生に向けて環太平洋経済連携協定(TPP)への加入をめざしている。米国の支持を得るためには米国産豚肉の輸入解禁が条件になるとみられているが、野党だけでなく住民の反発も強い。林首相は3日の演説で「安全性確保を最優先する」と慎重な言い回しに終始した。

 蔡政権は5月20日の発足直後から、国民党の馬英九・前政権の路線を転換する姿勢を前面に打ち出していた。東京都・沖ノ鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)設定を巡る問題では、「島ではなく岩であり、EEZ設定はできない」とした前政権の主張を取り下げた。

 2014年に中国との貿易自由化協定発効に抗議した「ヒマワリ学生運動」の参加者に対しては、前政権による刑事告訴を撤回。「告訴は政治的だった」とする民進党に対し、国民党は強い非難を繰り返している。

 議場の占拠など実力で政策決定を阻止するのは、過去の民進党の専売特許だった。野党に回った国民党は同様の方法でやり返す構えだ。民進党は1月の総選挙で立法院(定数113)の68議席を獲得し初めて過半数を握ったものの、与野党が正面から衝突し、政権運営が停滞する恐れがある。

 蔡氏は前政権下で進んだ中国依存からの脱却を掲げ、1月の総統選挙で大勝した。民進党が持つ独立志向を事実上封印して中国との関係を維持しつつ、日米との関係を強化してバランスを取る戦略だ。もっとも、台湾内部の不協和音が広がれば、将来の中台統一をめざす中国からの圧力に揺さぶられやすくなる。



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