台湾蔡政権、脱・国民党路線空回り 大停電、原発見直しに逆風 20 17/8/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「台湾蔡政権、脱・国民党路線空回り 大停電、原発見直しに逆風」です。





 【台北=伊原健作】台湾で蔡英文政権への逆風が強まっている。雇用や年金の改革など看板政策に企業や高齢者が強く反発し、15日に起きた大規模停電により目玉に掲げる「脱原発」路線にも批判が強まる。前任の国民党政権との違いを打ち出して労働者層にアピールする戦略だが、足元では空回りが鮮明だ。

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 「電力不足は明らかだ。一体どうするつもりなのか」。21日午前、蔡氏の最側近として政策実行を担う林全・行政院長(首相)は、立法院(国会)で野党議員の集中砲火を浴びた。

 民主進歩党(民進党)の蔡政権は2025年の脱原発を掲げ、6基ある原発の稼働を3基に抑えている。全世帯の半数に影響が出た15日の停電は、代替電力を供給するはずの火力発電所の稼働が遅れ、電力不足への懸念が高まるなかで発生した。原因は人為的なミスだったが、批判の矛先は蔡政権に向かう。

 民放のTVBSの6月の調査では、蔡氏の支持率は21%と就任以来最低に落ち込んだ。不支持は3倍の63%に達する。「停電が支持率に一段のマイナス影響をもたらす」(台湾師範大学の范世平教授)との声が多い。

 蔡政権は8年ぶりに国民党から政権を奪回し、昨年5月に発足した。企業や公務員などに依存した国民党政治からの脱却を掲げて改革を急ぐが、これらの政策はいずれも空回りが鮮明だ。

 目玉の一つである労働者保護を強める雇用制度改革は、肝心の企業従業員からも不満の声があがる。昨年末に労働基準法を改正し、時間外手当を従来の2倍以上に引き上げた。休日出勤や残業を減らす目的だが、残業の抑制により手取りが減るなどの弊害も目立つ。

 軍人や公務員などを過度に優遇する年金制度の改革にも着手したが、受給者の猛反発を招いた。19日に台北で開かれたユニバーシアード夏季大会の開会式では、改革反対派が選手入場口付近まで侵入。約30分間選手が入場できないトラブルが発生した。

 蔡政権の一丁目一番地である「脱・中国依存」も思うように進んでいない。東南アジアとの関係を深める「新南向政策」を打ち出したが、ビザの簡略化による観光増以外の具体的な成果は乏しい。輸出に占める中国依存度は約4割に高止まりしたままだ。

 中国による圧力の影響を懸念する市民も多い。蔡政権は民進党が掲げる「台湾独立」志向を封印し、中国に対話を呼びかけた。だが中国は台湾を国と認めて外交関係を持つ国への圧力を強め、6月にはパナマが台湾と断交して中国と国交を樹立した。

 支持率低下に歯止めをかけられなければ、蔡英文総統の民進党内での求心力低下は必至だ。学者出身の蔡氏は同党内の派閥と距離を置く。野党の攻撃に加え、民進党内からも批判が高まる可能性もある。



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