国内景気と人手不足 物価上昇の鈍化構造要因 2018/07/02 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「国内景気と人手不足 物価上昇の鈍化構造要因」です。





人手不足でも物価上昇率は鈍いままの日本経済。実質国内総生産(GDP)は1~3月期のマイナス成長を脱し、回復基調を維持できるのか。日本郵政の長門正貢社長に聞いた。

個人消費は低調

――景気の先行きをどうみていますか。

「これまでは世界経済が好調なので米国や中国への輸出に向けた日本国内の設備投資が活発になり、国内景気を主導してきた。ただ、トランプ政権の保護主義的な貿易政策がこれに水を差す懸念があり、中期的にはコスト高を通じ米景気が減速する可能性がある」

「日本では輸出と比べ個人消費は強くない構図が続くだろう。団塊世代(1947~49年生まれ)は貯蓄志向が強い。長寿化で社会保障費が膨らむ今後は高齢者自身の負担も増えると見越している」

――人手不足で賃金が増えれば物価にも上昇圧力がかかるはずですが。

「物流など人手不足が深刻な業種の賃上げ圧力は強いが、経済全体で見ると物価上昇を鈍らせる構造要因が根強くある。Eコマースは従来より低コストなので物価を下げる効果がある。Eコマースが新品だけでなく中古品市場まで急拡大している。エネルギーもシェールオイルの台頭で原油価格が上がりにくい」

「Eコマースのラストワンマイルを受け持つ宅配の人手不足は深刻で、そこの賃金はどの宅配事業者でも上がっている。価格転嫁は同業他社が先行したので昨年度は日本郵政のサービスへの乗り換えが起こり、宅配事業の収益は伸びた」

――人手不足問題にどう対応しますか。

「郵便と宅配の合計売り上げ2兆円弱の現在の内訳は郵便が7割、宅配が3割。郵便は過去10年、年平均で2%強減っており、宅配の割合を5割に高めていく計画だ。郵便事業の人員をグループ内でシフトさせて対応していく。日中短時間だけといった柔軟な働き方も採り入れていく」

「労働人口の減り方は総人口以上にきついので、省力化の工夫も進める。時間指定の再配達を見直すほか、自分の都合のよい時に受け取るコンビニなどの箱ポスト設置などだ。ドローンや自動運転を使った宅配の実験も始めた」

――政府の経済政策をどう見ていますか。

「企業業績は金融を除けば好調で、政策変更の必要はない。消費税の10%への引き上げは実施されると見ている。政府は消費増税の影響を緩和する政策は用意するだろう。金融政策は量的緩和は調整される一方、超低金利は今のまま続くだろう。超低金利によりグループ内で郵便貯金と簡易保険の収益環境が厳しいが、今が底だとみている」

限度額廃止望む

――超低金利にどう対応していますか。

「国債運用だけでは立ちゆかない。海外投資などでリスクを取っているが、収益貢献まで時間がかかる。とはいえ営業費用が約3兆円もあるので効率化すれば効果も大きい」

「通常貯金の限度額廃止の要望を民業圧迫と言われたが、目的は顧客の利便性向上だ。限度額を超えた顧客に月1万件も振り替え依頼を通知しており、コストも手間もかかる」

(聞き手は

編集委員 吉田ありさ)

ながと・まさつぐ ゆうちょ銀社長を経て2016年から現職。

ながと・まさつぐ



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