国有財産を生かす(上)保有株の価値上昇へ圧力「物言う株主」に変身 2 017/2/8 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「国有財産を生かす(上)保有株の価値上昇へ圧力「物言う株主」に変身」です。





 財政運営にきゅうきゅうとする政府には実は100兆円を超える国有財産がある。赤字を穴埋めするために株式や不動産を次々と売り払ってきた路線を軌道修正し、資産の価値を上げる方法を模索し始めた。虎の子の国有財産は財政の救世主となるのか。

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財務省は日本郵政株を気にかける

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 「株価を上げるべく頑張ってほしい」。財務省幹部は日本郵政首脳と面会するたび念を押す。財務省は今夏以降に日本郵政株を追加売却する方針。2015年の上場と合わせ、株式の最大66%分を順次売却する。

 財務省が気にかけるのは日本郵政の株価だ。日銀のマイナス金利政策で傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の収益悪化が懸念され、郵政株は上場時の売り出し価格(1400円)を下回る状態が続いていた。

 郵政株を巡っては、合計4兆円の売却益を東日本大震災の復興財源に充てることが決まっており、株価が大きく下がれば復興の青写真も揺らぐ。「物言う株主」として国が圧力をかけ続け、資産価値の下落を食い止める思惑があった。

 そこに吹いたのがトランプ米大統領の就任を材料視した株高の追い風だった。「労せずして株価が上がった」(日本郵政幹部)。売り出し価格を上回るまで株価は持ち直し、追加売却の条件が辛うじて整った。

「早期売却は困る」

 小泉純一郎政権が掲げた民営化シナリオは修正を余儀なくされ、17年9月までにゆうちょ銀とかんぽ生命の株式を100%売却するという当初の期限は曖昧になった。この間に株式売却の順番も変質してきた。

 「ゆうちょ銀とかんぽ生命の株はそう簡単に売られたら困る」(財務省幹部)。日本郵政の利益の9割を稼ぐ金融2社の株を先に売ってしまっては郵政株の土台が危うくなる。ゆうちょ銀幹部は「経営の自由度を上げたいが、我々は後回しだろう」とため息をつく。

 民間企業の資産価値を裏付けるのは収益力だ。様々な制約を受ける郵政グループの収益性はなお低く、相場という「風頼み」には限界が透ける。出資する企業の自助努力だけに任せられないと、国も動き出した。

「増配してほしい」

 「来年の配当金はさらに引き上げてほしい」。昨年6月、財務省の代表者は日本アルコール産業の株主総会で詰め寄った。昨年に初の配当を実施したが、財務に余力があると指摘。経営陣も「増配を検討したい」と応じざるを得なかった。

 直前に財務省が初めて公表した議決権行使の方針で配当を厳しくチェックすると表明。経営陣に強く働きかけて国庫への還元や企業価値の向上を求める姿勢に転じた。財務省は議決権行使や株主総会でのやりとりもすべて開示している。機関投資家が投資先企業と対話して企業価値を引き上げる「スチュワードシップコード」を率先垂範する意味合いもある。

 政府が持つ株式は総額25兆円。資産価値の向上に期待を高める背景には苦しい懐事情がある。17年度予算案では、特別会計の為替運用益2兆5000億円をまるまる使うという奥の手を使い、新規国債の発行額を減らした。国有財産という「へそくり」の価値を最大限高めることが喫緊の課題になっている。



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