地銀異変(3) 展望なき「脱・天下り」 2018/06/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「地銀異変(3) 展望なき「脱・天下り」」です。





「功績に敬意を表したい」。6月19日午前、横浜ランドマークタワー。横浜銀行と東日本銀行を傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)の株主総会で、株主発言に拍手がわいた。元国税庁長官の寺沢辰麿(71)が社長を退任し、横浜銀行の生え抜きで頭取の川村健一(58)が昇格する。生え抜き幹部らに主導された約70年ぶりの「脱・天下り」人事が承認された。寺沢は総会で深々と一礼した。

(画像:寺沢氏の株主重視は称賛された(横浜市で開いた株主総会))

寺沢は6期連続で増配し、2018年3月期は実に純利益の5割を投資家に還元した。東日本銀行との統合を決めた15年秋。寺沢は発表直後、大株主の英ファンドが待つロンドンに飛んで、自ら説明した。3割を超える外国人株主の存在を無視できなかった。旧大蔵省出身者が歴代トップを務めた同社で株主重視が寺沢時代の象徴だが、皮肉にもそこに足をすくわれた。

「株主への還元を増やすくらいなら、利益を銀行の構造改革や地元の融資に回したらどうなのか」。金融庁も16年秋ごろから疑問の目を向け始めた。店舗など過大な固定費を圧縮し、リスクを取って融資しなければ地方銀行トップの横浜銀行ですら生き残れないとの判断からだ。権力構造を変えようとしないことに、金融庁は「天下りで乗り切れる時代ではない」と突き放した。旧大蔵省出身で副社長の石井道遠(66、東日本銀行前頭取)も主な役職から外された。

「仕切り直しを優先すべきではないか」。18年3月期に7期ぶりに最終赤字に転落した福島銀行。金融庁は4月、日銀出身社長の森川英治(62)に暗に退任を迫った。森川はためらったが、ライバルである東邦銀行元専務の加藤容啓(61)を後任に招き、退任した。

「解任命令を出したいくらいだ」。18年3月期に本業のもうけを示すコア業務純益が2期連続の赤字だった島根銀行。金融庁幹部は4月、旧大蔵出身の頭取・会長経験者で、取締役相談役として実権を握る田頭基典(77)に不信感を強めた。田頭は引かず、問題を指摘した検査結果に反論を繰り返したが、6月「高齢と体調」を理由に16年務めた取締役を退任した。

規制金利や金融危機の時代、天下り経営者は神通力を持った。いまやマイナス金利や新興勢力の攻勢にさらされ、生き残りの再編も待ったがかかる。天下りを脱した先の再生に展望を持っているのか。

(敬称略)

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