基本計画の宿題(1)電源構成見直し 素通り 2018/07/05 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「基本計画の宿題(1)電源構成見直し 素通り」です。





政府が新しいエネルギー基本計画を閣議決定した。消費者や企業にとって不可欠なエネルギーの将来像を示すもので、政策の基礎にもなる。原子力発電や再生可能エネルギーを巡る環境の変化で課題も山積しているが、4回目の改定となる今回は大枠で4年前の前回計画を踏襲した。積み残した宿題も目に付く。

まず将来の電源構成の数値を据え置いたことだ。経済産業省は2015年、30年度に見込む電源構成を示した。原子力で全体の20~22%、太陽光や風力といった再生可能エネルギーで22~24%を生み出すとした。

足元では2%

今回はこの内容を見直すかが注目されていた。足元の電源構成は原子力が2%、再生エネが15%。火力で8割をまかなう状態だ。特に再稼働が思うように進まない原発は20~22%との乖離(かいり)が大きい。30年度より先の計画値についても検討は進まなかった。

「本当に達成できるのか」。経産省の審議会では、30年度の数字に委員から疑問が投げかけられた。ただ世論の賛否が割れる原発で、踏み込んだ議論は避けられた。世耕弘成経産相は早々に「基本的に骨格は変えない」と発言。電源構成の数値は「変更しない」という前提ありきだった。

基本計画はエネルギーの環境変化を列記した。まずは世界で進む脱炭素化に向けた競争だ。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択され、各国は太陽光や風力といった再生エネの拡大にまい進している。

基本計画では再生エネを50年に向けて「主力電源」とすることを初めて明記した。だが原発の構成比率が定まらないなか、50年に再生エネの比率をどこまで高めるかは未定のままだ。

地政学リスクも問題になる。中国はエネルギー需要の急増で液化天然ガス(LNG)の価格を押し上げ、LNGの主要消費国の日本は燃料費の拡大で影響を受けた。米トランプ政権は中東有数の産油国、イランからの原油輸入の停止を求める。

下がる自給率

日本のエネルギー自給率は原発の稼働が減ったこともあり震災前の20%から8%に低下している。資源に乏しい日本はエネルギー安全保障にどう向き合うべきか、どんな対策を打てば将来のエネルギー供給を安定させられるのか。その解を示す意味で、今回の計画は課題を残した。

据え置いた電源構成の割合について経産省幹部は、「次の3年後の改定では変えざるを得ないだろう」と話す。米国が削減を要求してきた使用済み核燃料の再処理で出るプルトニウムの問題も、基本計画で「削減する」と明記したが実現は不透明だ。エネルギーを巡る情勢の変化が激しくなるなか、議論を急ぐ必要に迫られている。

新しいエネルギー基本計画の論点と、取り組むべき課題を点検する。



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