外国人材と拓く(5) 「移民」政策はとらない 成功例重 ね「名より実」 2017/3/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「外国人材と拓く(5) 「移民」政策はとらない 成功例重ね「名より実」」です。





 「いわゆる移民政策をとる考えはない」と安倍晋三首相はなぜ繰り返すのか。「正直怖いところがある」(政府高官)。保守層の反発など世論の反応を読み切れていないというのが実態に近い。

沖縄のスパ業界はセラピストが不足している(8日、那覇市)

 「移民」という言葉は使わない。国内の雇用を脅かさない。小さな成功例を重ねる。「できるところからやっていく」(同)。「名より実」が政権の基本戦略となる。

 たとえばこんな例だ。

 沖縄県名護市。隣接するホテルと合わせ年5千人がスパを利用するザ・ブセナテラスの支配人、新垣瞳さんは「7~9月の繁忙期はお客様が予約を取れず利用を諦めることもある」と話す。

 女性が中心のセラピストは慢性的な人手不足。そこで外国人セラピストの受け入れに目を付けた。「外国人を雇えれば、繁忙期でも商機を逃さない。それに、外国人客も取り込めて新たな商機が見込める」(新垣さん)。訪日客への外国語対応なら日本人とすみ分けできるとの読みもあった。

 ただ今の受け入れ制度ではスパの現場で外国人セラピストは働けない。NPO法人の日本スパ振興協会(東京・港)は沖縄県も巻き込む形で、国家戦略特区としての受け入れを提案した――。

 政府はこうした訪日客への対応に役立つ海外のサービス人材を特区で働きやすくする方針だ。成功例を積み重ねて全国に広げる長期戦となる。

 「移民」という言葉を封印するなかで、自民党の労働力確保に関する特命委員会(木村義雄委員長)が昨年5月にまとめた報告は政権中枢の「本音」に近い。技能実習生を「就労目的の在留資格」による労働者に改め、きちんと管理する。そのうえで「在留期間については当面5年とし、更新可能とする」提言だ。

 外国人は日本での在留期間が10年以上になると永住権を申請できる。5年の在留期間がもし更新できれば技能実習生に定住・定着の道が広がる。「移民」という言葉を使わずに風穴をあける策だ。

 自民党の野田聖子元総務会長は日本の人口が2100年に4959万人まで急降下するグラフに危機感を覚えている。だが「女性の活躍や障害者の雇用、高齢者の再活用。それらをすべてやった上でないと、『移民』の話はできないのだろう」と政治の現実を語る。

 外国人労働者が15年の91万人から1年間で108万人に増える現状を見て、首相の「移民政策をとらない」という発言を「詭弁(きべん)だ」と批判するのはたやすい。

 しかし「移民」という言葉は「議論する人と議論する場により、想定する内容に齟齬(そご)が生まれやすい」(経団連)こともまた事実だ。

 「移民」の2文字のせいで政策を語れないのは建設的でない。ならば「外国人材」という言葉で望ましい受け入れ方を丁寧に議論していきたい。



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