外国人材と拓 下支えの実相(4) 外国人が働く特区「な ぜ農業と家事だけなのか」 2017/10/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「外国人材と拓 下支えの実相(4) 外国人が働く特区「なぜ農業と家事だけなのか」」です。





 慢性的な人手不足に悩む農業。政府は国家戦略特区に限って外国人の農業就労を解禁し、来年前半にも受け入れを始める。地域の選定を控え、技能実習などで農業を担う外国人材の関心を集めている。

大葉の生産農家で摘み取り作業をするベトナム人の技能実習生(愛知県豊橋市)

 9月末、愛知県豊橋市内の伊藤園芸。ビニールハウスで手際よく大葉を摘み取るベトナム人技能実習生のター・ティー・レイさん(34)は故郷に2人の子どもを残す。それでも特区の新制度の説明を耳にしてこう語った。「帰国後も、また日本に戻ってきたい。優れた農業技術を学べるし、収入の高さは魅力的だ」

 日本人並みの給与を保証。複数の農家で働いて農作業から販売・加工まで幅広く携わり、農業の繁閑を見ながら通算で3年働ける。1つの農家でしか働けず、今は入国から3年で帰国になる技能実習より自由度は高い。

 特区での外国人就労が始まっているのは家事代行だ。ここでも賃金は日本人並み。さらに、1日の勤務時間と休日確保などを定めている。フィリピンから来たエバー・ビヨングさん(33)は「給与はアブダビでの仕事の2~3倍に増えた。自分の時間を確保しながら仕事ができる」と喜ぶ。

 外国人材の就労できる職種を広げて、条件も良くする――。人手不足に悩む国では当然想定される政策だが、単純労働に近い分野で日本は緒についたところ。首をひねる外国人関係者は多い。

 「なぜ農業などだけなのですか」。ベトナム人技能実習生の送り出し機関社長、グエン・フンさん(仮名)はよく知る農業生産法人の社長に疑問をぶつけた。

 農業の場合、2月時点で従事者は299万人と10年間で4割減。超高齢化が進み、活力をもたらす担い手の不足を前に反対論は抑え込まれている。農業関係6団体は外国人の受け入れを全国で認めるよう提言した。このままでは成り立たなくなるとの危機感がある。

 単純労働に近い分野で外国人の就労範囲を広げるのは、「移民」に拒否反応を示す世論を刺激する。それならば、特区を使って、納得感が得られる分野に限ってまず地域限定で踏み込む。問題があれば立ち止まり、クリアすれば再び進んでいく。それにより丁寧な議論が可能になるからだ。

 若者が減る中、外国人材はいわゆる単純労働の現場で既に貴重な支え手となっている。日本が活力を取り戻して経済や社会の基盤を維持・発展させるにはその力がより重要になる。

 ここで一定の役割を担っている技能実習生や留学生は本来、働く目的とは異なる人たちだ。今後も即戦力として働きやすくしたり支援を強めたりしていくのか。それとも正面から外国人を受け入れる新しいとりくみを考えるのか。議論に時間がかかっても、決して逃げてはいけないテーマだ。



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