大機小機 デフレの容疑者 2017/8/4 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 デフレの容疑者」です。





 政府・日銀のデフレ脱出作戦が大苦戦している。

 日銀は2%のインフレ目標時期をさらに延期した。6度目の延期である。政府は経済財政白書で「デフレ状況ではないが、(中略)デフレ脱却には至っていない」と総括した。デフレなのかデフレではないのか。意味不明の代表的な霞が関文学作品だろう。

 政府も日銀もインフレ目標達成を阻む犯人の割り出しに必死だが、成功しているようには見えない。

 犯人は誰か。有力容疑者の一人(一つ)はデジタル革命ではないだろうか。

 デジタル経済化が進み、世にはデジタル化された製品・サービスがあふれている。携帯電話もコンピューターも、技術進歩はとてつもなく速く、実質的な価値は著しく高まっている。品質が同じなら驚くほど安くなっている。デジタル財の限界生産費用が、限りなくゼロに近づくという特性が背後にある。

 インターネットの普及による、モノやサービスの完全競争市場化も物価下落圧力として働く。情報の検索コストは劇的に低下し、均衡価格は瞬時に見つかる。あちこちに商品価格の比較サイトが出現しているのが典型例だ。供給側に有利な情報の非対称性は薄れ、企業の超過利潤は消える。仮にコストが増えても、競争が激しく簡単には価格に転嫁できない。人件費増でもサービス価格はなかなか上がらない構造だ。

 労働市場そのものへのデジタル・情報革命の影響も小さくない。伝統的な経済理論には、雇用の特性と情報のミスマッチで、これ以上は下がりにくいという失業率の水準がある。構造的・摩擦的失業率とか自然失業率とか呼ばれる。ここを下回れば、賃金上昇に勢いがつき、物価を押し上げるという水準だ。

 日本の構造的・摩擦的失業率は3%強、米国は5%前後とされてきた。足元、実際の失業率は日本が2%台、米国が4%台前半である。だが両国とも賃金・物価へのハネ返りは弱い。

 「実は構造的・摩擦的失業率が低下している」という説がある。非正規労働者の増加など雇用の流動化に加え、ネットの普及で求人情報や求職情報が隅々まで行き渡り、ミスマッチが減少しているというわけだ。

 大胆な金融緩和――。さて的を射た政策なのだろうかと、ふと思う。

(横ヤリ)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です