大機小機 マイナス金利は“スタート” 2016/03/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 マイナス金利は“スタート”」です。





 1月29日、日銀はマイナス金利の導入を決めた。黒田東彦総裁はかねて「日銀は必要な政策はすべて採る」「日銀の政策手段に限界はない」「必要な時はクイックアクションを採る」と公言していたが、まさにそれを実行した形だ。

 アベノミクスの第1の矢によって日銀は大量の通貨を発行している。日銀が市中銀行などから国債などを購入し、銀行におカネが流れる仕組みだ。その結果として銀行から企業や個人への貸し付けが増えることが期待されてきた。しかし現実には、銀行に流れた資金は日銀に当座預金として積み上がり、企業などに十分回っていない。マイナス金利の背景にあるのは、おカネをもっと積極的に企業や個人に貸し付けろ、というメッセージだ。

 貯蓄と投資を均衡させるような利子率(自然利子率)が、今やマイナスになっているという有力な調査もある。それだけ投資機会が減少している。そこから世界経済の長期停滞(セキュラー・スタグネーション)への懸念も生まれてくる。ただしこれは運命ではない。対策は2つある。

 1つは金利を下げることだ。マイナス金利もこれに該当する。だからこそ日銀だけではなく欧州中央銀行(ECB)などでマイナス金利が採用されている。もう一つは、投資機会を拡大するような改革を進めることだ。規制緩和で民間の投資機会を拡大し、インフラ運営権を民間に売却するコンセッションなどで民間の活力を用いた公共投資の拡大を実現することだ。

 その意味で筆者はマイナス金利が間違っているとは考えない。しかしマイナス金利は、投資を増やす為の構造改革が伴って初めて効果がある。これは日銀ではなく政府の仕事だ。

 今はマイナス金利の効果がでるかどうかばかりに関心が集まっている。しかしマイナス金利政策はあくまで“スタート”だ。これをいかすには政府の構造改革、とりわけ規制緩和とコンセッションが必要だ。

 こうした政府の政策がなければどうなるか。欧州の一部の国のように、マイナス金利が金融機関の収益を悪化させるだけに終わるリスクがある。マイナス金利をいかすために政府はなにをすべきか。こうした議論が経済財政諮問会議などでもっと積極的に行われる必要がある。

(夢風)



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