大機小機 リスクオフで円安になる日 2014/02/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 リスクオフで円安になる日」です。





 東日本大震災当日。為替市場の動きを映すボードの円相場がみるみるうちに上昇していくのにぼうぜんとなった。未曽有の天災が日本を襲っているのになぜ円が買われなければならないのか。

 相場関係者が説明した理屈はリスクオフ。とりあえず安全な通貨や資産におカネを移すのだという。思えばリーマン・ショック後の日本経済を苦しめたのはこのリスクオフという魔物だった。

 安全通貨とされた円が異常に上昇、株価は暴落した。円高は輸出企業を苦しめ、金融危機と無関係なはずだった日本は一時先進国で最大のマイナス成長を記録した。

 最近の新興国不安でも円は買われ、円安・株高を糧とするアベノミクスに冷水を浴びせた。

 だが、リスクオフなら円高という構図はいつまで続くのか。円高地獄も苦しいが、もっと大変なのは売られやすい通貨になってしまうことだ。通貨安に伴うインフレ悪化を防ぐために、景気を犠牲にして大幅利上げを迫られている新興国の苦境を見れば明らかだ。

 「リスクオフで売り」という国に仲間入りしかねない芽はある。

 危機時に売られる通貨の共通点は経常収支の赤字国であること。高齢化に伴い日本の高貯蓄構造は崩れ、構造的な財政赤字が膨らみつつある。貯蓄と投資のバランスで決まる経常収支が赤字化する日はそれほど遠くないとの見方は少なくない。

 財政再建が進まず、日銀が国債購入で財政の穴埋めをする事態になれば危険はさらに増す。通貨への信頼は失われ、リスクオフ時に円が売り対象になっておかしくない。

 もう一つの心配は近隣諸国との緊張激化だ。地政学的なリスクが高い国の通貨は売られやすいのは間違いなかろう。

 円安は輸出改善につながる良い面もある。だがリスク忌避の通貨売りは往々にして行き過ぎ、信認回復のために過度の引き締めを迫られることにもなる。マネーの逃避は金融市場にも大きな混乱をもたらし、国民生活も脅かされることになる。

 そうならないようにするには、経済を強くし、魅力的な投資環境を整備することに尽きる。企業の競争力を高めつつ財政を再建する。経常赤字になっても海外から長期資金が安定的に入ってくる土壌をつくりだすことだ。

 まだ先の話とは言っていられない。今から構えておくべきだ。

(冬至)

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