大機小機 世界経済に雪解けの兆し 2016/03/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 世界経済に雪解けの兆し」です。





 桜の季節になっても世界経済はまだ冬景色だ。だが、雪解けの兆しはある。

 昨年12月、米連邦準備理事会(FRB)は物価と雇用の2つの目標達成にメドを付けて利上げに踏み切った。しかし、金融正常化を急ぐあまり、ドル高のデフレ効果を過小評価していたようだ。今後の利上げを織り込んでドルが高騰した結果、米国の輸出と設備投資が減少しただけでなく、世界経済の先行き不安が高まり世界の株価が暴落し、国際金融市場の動揺を招いてしまった。

 ドルは貿易信用状の8割強、国際金融取引の過半を占める基軸通貨だ。米国は基軸通貨国としてドルを安定させる責務がある。5年間に4割ものドル高を放置した結果、世界貿易が縮小し国際商品価格が暴落、新興国の失速で世界不況に逆戻りしかねない情勢だ。

 こうした中でドルが下落し始めた。日銀がマイナス金利を導入し欧州中央銀行(ECB)は追加緩和に踏み切ったが、ドル安が進む。FRBが利上げを急がない姿勢に転じ、ドル安の流れは鮮明になった。

 ドルの実質実効レートは変動相場制への移行以来43年間の平均に比べて、まだ1割程度高い。米国経済を浮上させ、世界経済を安定させるにはドルの一段安が必要だ。今後、FRBは利上げを物価上昇率の範囲内に抑え、実質的なマイナス金利を維持しつつドル安誘導に向かうのではないだろうか。

 ドル安になれば世界の景色が変わる。原油市場はドル建てで取引されるため、ドルが下落すれば原油価格は上がる。資源国は原油価格の回復で危機から脱出するだろう。すでに資源国経済の回復を織り込んで資源国通貨が上昇している。

 中国の輸出下支え効果も期待できそうだ。人民元の実効レートはドル高に連動して4年間に3割上昇し、競争力を失って輸出が激減した。だが、昨年8月以来、人民元は対ドルで約6%、バスケットレートで約7%下落した。今後、ドル安とともに人民元がさらに下落すれば輸出減少に歯止めが掛かり、中国経済も小康を取り戻すだろう。

 世界経済は国際金融危機の後遺症を抱え、いぜん不安定な状況が続く。だが、ドル高の冬将軍が去れば雪解けが始まり、世界景気にも薄日が差すことになるだろう。

(富民)



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