大機小機 中国経済4つの誤算 2017/4/28 本日の日本経済 新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 中国経済4つの誤算」です。





 先の米中首脳会談でトランプ大統領は習近平国家主席に黒字削減要求を突き付けながら、北朝鮮政策での協力を引き出した。中国に様々な思惑があるにせよ、中国経済が対米強硬路線を取れるほど盤石でないことが外交面で妥協せざるを得なかった背景だろう。

 習主席は就任以来4年間、人民元高に歯止めを掛けて輸出を下支えしつつ、内需主導型経済への転換を図り、高成長から中成長への軟着陸を図ってきた。だが、4つの誤算があった。

 第一は、為替政策の誤算だ。人民元の対ドルレート上昇に歯止めを掛けたが、米国の金融出口戦略でドルが20%高騰した結果、人民元の実効レートが15%上昇して輸出が失速した。15年8月に人民元を切り下げたが、ポンド急落などで実効レートが高止まりして輸出減少が止まらない状況だ。年初来、世界貿易の回復にもかかわらず、輸出の減少(数量ベース)が続き、景気の足かせになっている。

 第二は、人民元切り下げで資本流出が始まったことだ。1年半で流出額は1兆ドルを超えた。昨年末の資本流出規制強化で、逆に対中直接投資が一段と減少し、設備投資の停滞をもたらしている。

 第三は、財政赤字の拡大だ。内需主導型への転換に伴う社会保険料や公共サービス支出増大と景気減速等による税収鈍化が背景だ。年初来、インフラ投資拡大で景気は底堅いが、財政出動で1~3月の歳出は前年同期比2割増だ。大型減税もあり、今年の財政赤字の国内総生産(GDP)比は日本を上回るだろう。

 第四は、マネー膨張だ。成長率が半減する中で2桁の融資拡大を続けた結果、中国の通貨供給量(M2)は米国の1.7倍になり、世界の3分の1を占めるに至った。年初来、引き締めに転じたが、住宅バブルが止まらず、インフレの兆しも出始めた。輸出減少、資本流出、財政赤字拡大、バブル膨張の4重苦に見舞われ、手詰まり状態だ。

 米中間の貿易不均衡是正に向けた「100日計画」で合意したが、中国はGDPの2%以上を対米貿易黒字に依存する。黒字を削減すれば成長率が低下し、財政出動で景気を支えれば財政赤字がさらに拡大する。中国は対米黒字削減という新たな重荷を抱え、一段と厳しい経済運営を迫られることになる。

(富民)



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