大機小機 事業性評価による地方創生 2016/12/29 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 事業性評価による地方創生」です。





 地方創生を実現する有力な手段として、地域の金融機関などによる「事業性評価等」に基づく融資がある。2014年の日本再興戦略に盛り込まれた概念で、財務データや担保・保証に必要以上に依存せず、企業の事業内容や成長可能性を適切に評価し、成長を後押しする融資や助言をするものだ。これによって産業の効率性が高まり、地方経済の活性化につながる。

 この手法は実際に企業や産業の成長過程において、どのような影響を及ぼすのか。創業期は融資よりもベンチャーキャピタルなどの投資に期待がかかる。不確定な要素が多く、適切な事業性評価は難しい。銀行にも相応の支援は求められるが、預金を融資に振り向けるのが基本業務だけに、ハイリスク・ハイリターンの融資を大きく増やすのはそもそも無理がある。

 成長期から成熟期は前向きな資金需要が最も旺盛なステージだ。マイナス金利下で金融機関の貸し出し競争は一段と激しくなっており、金利引き下げにとどまらず担保条件を緩和してでも融資を拡大しようとする動きが常態化している。事業性評価を適用しても融資が顕著に増える企業は限定的になるだろう。

 成熟期から衰退期ではどうか。企業の集約や退出は不可避であり、銀行が事業性評価に基づく対応を徹底すれば、融資額はむしろ減少する可能性が大きい。

 事業性評価、言い換えれば目利き力による企業価値の向上と劣化防止の支援は金融機関の果たすべき基本的な役割だ。現在の我が国、特に地方において潜在成長率を高める最も直接的で効果のある対策は生産性が低い企業の退出やM&A(合併・買収)による再編といった新陳代謝である。

 企業の緩やかな退出や転廃業の助言・勧告は地域金融機関の使命だ。それでこそ地域の限られた経営資源を成長分野へ移転・集約できる。銀行など貸し手が経営を監視する「デット・ガバナンス」の出番である。

 金融庁は金融機関がデット・ガバナンスを行使するにあたっての障害を軽減する施策も導入した。しかし中小企業金融円滑化法の終了後も金融検査のマニュアルが変わらないなど改善すべき点は多い。事業性評価の効果を高めるにはどうすればいいか。官民挙げて基本に立ち返った議論が求められている。

(眉山)



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