大機小機 人民元とギリシャ問題 2015/08/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 人民元とギリシャ問題」です。





 中国人民銀行が、人民元の基準値を3日連続で引き下げた。これを中国指導部の中国経済減速への危機感の表れであるとか、為替切り下げ競争や世界経済への悪影響があるとする論調もあるが、他の諸国は既に変動相場制に移行して、何事もなく日々レートは変動している。

 人民元が国際通貨基金(IMF)の準備資産であるSDR(特別引き出し権)に組み入れられて国際化するには、自由な変動相場制への移行は不可欠である。もし現在、自由な市場動向に任せていたなら、米国の利上げ観測で軒並み相場が下落しているアジア諸国の通貨と並び、人民元相場も下がっていただろう。

 ドルに実質的にペッグする人民元は円安が始まって以降、円に対しても大幅に割高になっていた。基準値切り下げは市場動向を追認した面があり、人民銀行の主張の通り、いずれは避けられない変動相場制に向けての動きとも考えられる。

 今回は4.5%程度の調整だが、今後も市場動向に沿った基準値変更が続くのではないか。それは中国経済にとっても前向きの対応策である。だが、人為的変更は投機の対象となるリスクも含むので為替管理の自由化とは矛盾する。

 中国経済の成長率が今後低下することは周知の事実であり、既に織り込み済みであろう。それが予想外の規模にならないよう「新常態」にソフトランディングすることが政策目標と思われるが、変動相場制はそのための有力な手段である。

 ギリシャ問題も欧州連合(EU)からの金融支援と新たな緊縮策の約束という同じパターンで、今回も問題が先送りされた。双方が有権者を納得させる粘りを見せ、報道の規模も縮小している。数年先には問題が再燃し、EUが債務削減を受け入れ、それでも解決せず負担金額は増え続けるのは目に見えている。だが、その頃には政権交代しているので、現在の政治家にとっての問題は解決である。先送りは他人の金が使える政治の知恵である。

 だが、ユーロ導入で各国間の自由な通貨間競争を放棄したために、独は困難の生じた国に金融支援を続け、ユーロ圏全体の成長率は鈍ることになる。通貨間の自由な競争がないという意味で、中国元とギリシャの問題は同じ根につながっている。

(桃李)



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