大機小機 原油価格と物価 2015/10/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 原油価格と物価」です。





 原油価格が半値以下になり、一時は日本の輸入品首位が液化天然ガス(LNG)に交代するほどの変化が起きて、地政学的な国際関係にも大きな影響を与えている。世界経済の停滞やシェールガスの増産、省エネ技術の進歩、投機需要の消滅といった多くの要因が絡み、逆石油ショックの様相を呈している。原油価格の下落はエネルギーを輸入に頼る日本経済にとっては恩恵となるが、当面、2%のインフレ目標への影響が関心を集めている。

 8月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギー価格を除いたベースでプラス1.1%とみられ、物価の上昇基調に変化はない。しかし、指数で除外されるのは電力代や都市ガス代、ガソリンといった石油製品の価格だ。幅広い分野の基幹原料である原油の値下がりは、今後も物価に幅広い影響を与えるだろう。エネルギー以外の国際商品の価格も軒並み低下傾向にある。

 1980年代後半のバブル経済はプラザ合意による1ドル=250円から1ドル=120円への急激な円高に対応した金融緩和が発端となった。時期を同じくして原油価格が半減する逆石油ショックが起きて原油の円価格が4分の1にまで下がったため、物価指数だけを見るとインフレは発生せず金融緩和が継続された。

 円高によって石油関連市場を中心に差益が蓄積し、不動産や株などの資産バブルを生む主因になった。原油価格の下落によって、日本の物価はこれほど大きな影響を受けた経験がある。

 様々な外的要因がある現在、消費者物価上昇率の2%という数字にこだわる理由はない。目標値のプラスマイナス1%という範囲を外れたときは、中央銀行が理由を説明するのがインフレ目標政策の世界標準ではあるが、既にデフレは脱却しており、金融緩和政策は成功している。

 金融緩和の影響はまず円安と生産量の増加に表れ、次に雇用が増加して完全雇用が達成され、その後に人手不足、賃金上昇、物価上昇という経過をたどる。安倍政権による金融緩和政策が確実視されて以来、3年間のデータの推移は理論通りである。

 目先の数値だけを追うのではなく過去3年間の動向をそれ以前と比べれば、日本経済の順当な回復基調は明瞭である。

(桃李)



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