大機小機 安倍政権の「やってる感」 2017/2/11 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 安倍政権の「やってる感」」です。





 筆者はしばしば、安倍政権の経済政策を「焼き畑農業」と評している。最初の「3本の矢」は一定の成果を収めたが、それだけでは成長力は高まらなかった。それ以降、地方創生、新「3本の矢」、一億総活躍などと次々に目先を変え続けている。ただし、看板を掛け替えて会議を立ち上げるだけだから、実際に成果が生まれるはずはない。

 それでも安倍内閣の支持率が極めて高いのは何故かと考えてきたのだが、御厨貴・芹川洋一両氏の対談本「政治が危ない」(日本経済新聞出版社)の中に重要なキーワードを見つけた。それが「やってる感」である。しかも同書によれば、首相自身が「やってる感が大事なんだ」と意識して行動しているのだという。

 この言葉を聞いて思い当たったのは、日本には成果の有無ではなく、「頑張っている人をおとしめてはならない」という文化があることだ。「アベノミクスは道半ば」として、次々新しいスローガンを掲げ続ける経済政策は、確かに頑張っている印象を与える。党内対立で身動きできなかった旧民主党政権とは好対照である。

 まして頻繁に外遊をこなし、その度にテレビに自身の姿を映し出す外交姿勢は「やってる感」満載といえよう。昨年末の北方領土交渉でロシアのプーチン大統領に肩透かしを食らっても、意外に支持率が下がらなかったのは、諦めずに頑張り続ける姿勢を示しているからではないか。

 これは黒田東彦総裁率いる日銀の金融緩和も同じかもしれない。4年近く経っても物価上昇率はいまだにマイナスだから、「2年で2%の物価目標を実現する」という約束は大嘘だったことになる。それでも、金融関係者以外から日銀批判を聞くことは多くない。マイナス金利や長期金利コントロールなど、あの手この手を繰り出して頑張っている姿勢が評価されているのだろう。

 だが、日本企業の長時間労働は、この成果よりも頑張る姿勢を重視する文化の反映だ。それ以上に、成長力強化も財政健全化も道半ばのままでは、団塊世代が後期高齢者となる2020年代には日本の社会保障は行き詰まってしまう。今年こそ安倍政権には「やってる感」だけではなく、実際の成果を出してもらいたいものである。

(希)



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