大機小機 日本経済2つのシナリオ 2017/4/6 本日の日本経 済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「大機小機 日本経済2つのシナリオ」です。





 日本経済を景気循環の観点から見ると、ゼロインフレの下で労働需給や企業収益などの経済指標は非常に順調で、理想的な状況に近い。日銀が掲げる2%インフレ目標を達成できていないという表面的な問題や、人口減少を主因とする低成長という解決困難な長期問題、不人気な増税を避けるために政府が放置し続ける財政再建という中長期的課題はあるが、当面は花見酒を楽しめる状況にある。

 こうした中で、政府・日銀と日本経済のマクロバランスにとって理想的なシナリオは、2%のインフレ目標が達成できず、ごく低い物価上昇が続くことだ。そうすれば日銀はゼロ金利を継続でき、徐々に量的緩和を弱める(テーパリング)ことで、バランスシート拡大に歯止めをかけ、ゆくゆくは縮小へと巻き戻せる。

 これに対し、2%のインフレ目標が急速に達成されれば、むしろ危険な状態が引き起こされる。2%インフレの下では、短期金利で最低1%、長期金利で2%以上にまで金利を早急に引き上げないと、景気過熱のリスクが高まる。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の言葉を借りれば、景気回復に見合った政策金利の引き上げを怠れば、景気の過熱現象という「予想外の悪い事態(nasty surprise)」が発生しかねないからだ。

 長引いた超低金利の後の金利上昇は様々な問題を発生させる。国債価格が暴落すれば日銀は巨額の損失を背負う。20兆~30兆円程度の損失額であれば自身で処理できるが、損失額がそれ以上に達した場合、日銀は極めて長期間にわたり、赤字を出し続ける恐れがある。

 家計部門にとっても、変動金利住宅ローンの返済負担が大きなリスク要因になる。あまり知られていないが、金利が大幅に上昇した場合、約定通りに返済を行っても満期に未払い利息が残る。その一括返済を求められる事態が想定される。

 財政赤字についても、政府の利払い負担が急激に膨張して、政府赤字がコントロールできなくなる可能性がある。政府は財政再建目標について、利払いを除く基礎的財政赤字の均衡を掲げている。たとえ基礎的財政収支が均衡しても、金利が上昇すれば、政府債務の国内総生産(GDP)比率は、際限なく上昇していくことになる。

(山河)



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