大機小機 消費増税の先送り方 2016/04/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 消費増税の先送り方」です。





 九州地方で起きた熊本地震は、自然の恐ろしさを改めて見せつけた。政府は人命を第一に、救助・復旧に全力をあげてほしい。

 道路や鉄道などのインフラは寸断された。訪日客の減少も懸念される。経済への影響はすぐには分からないが、2017年4月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げるハードルは一段と高くなった。

 もともと、景気は本調子からほど遠い。実質賃金は増えず、円高も心配だ。15年10~12月期に続き、16年1~3月期の実質国内総生産(GDP)もマイナス成長がとりざたされる。「デフレ病」が悪化するくらいなら、増税は延期するのが正解だろう。

 その判断は正しくても、ことはそう簡単ではない。危機的な日本の財政を考えれば消費増税は必要だ。第1に増税を先送りするなら、次にいつ上げるのか。

 財務省幹部は「今の政権のうちにやらなければ無責任だ」という。安倍晋三首相の自民党総裁任期は18年9月だから、その場合は18年4月。しかし、1年の猶予で日本経済を巡る不安がなくなるだろうか。それなら19年4月? その年の夏には参院選がある。

 第2に、次の増税時期を決めたとして、それを誰が信じるのか。14年11月に消費増税の先送りを表明した安倍氏は記者会見で「再び延期することはない。断言する」と力説した。

 安倍氏は「リーマン・ショックや大震災のような事態が起きない限り、予定通り増税する」とも言ってきた。ただ、増税先送り論は熊本地震が起きる前から政権内にあった。法律にも書いた内容を2度もくつがえして「今度こそ」で納得するほど市場は甘くない。

 首相周辺では、安倍氏が増税先送りを決断した場合の頭の体操が始まっている。「延期するかどうかではなく、どうやって延期するかが悩ましい」と政府高官は漏らす。税収増が見込めなくなる分、財政健全化は遅れる。子育てや介護など社会保障を充実させる財源が不足する問題もある。

 「必ずや(増税できる)経済状況を作り出す」。14年11月、安倍氏はこうも言った。なぜそうならなかったのか。「決断」の理由を中国経済の不調などの外部環境や震災だけに求めるのなら、増税延期の先にあるのはやはり増税延期しかない。

(ペン尻)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です