大機小機 消費増税再延期のリスク 2016/06/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 消費増税再延期のリスク」です。





 安倍晋三首相が来春に予定されている消費増税を2年半先送りする方針を決めた。4月初めの当欄で増税延期論への疑問点にふれたが、改めて増税延期のリスクを考えてみよう。

 もっとも心配なのは、政府債務残高が国内総生産(GDP)の2倍に達する先進国最悪の財政状況を改善する意志が日本政府にあるのか、日本経済は持続可能なのか、といった疑念が国際的に大きく高まる危険性があることだ。日本国債への信認も崩れかねない。

 小泉純一郎政権以降、政府は財政再建の第一目標をプライマリーバランス(基礎的財政収支=政策的経費を税金のみでまかなった場合の収支)の黒字化に置いてきた。政府の債務残高の膨張に歯止めをかけるためだ。

 国・地方合計の収支を2020年度に黒字化するというのが民主党政権以来、現政権にも引き継がれている財政再建の最大目標となっている。

 ところが内閣府が1月に経済財政諮問会議に提出した資料では、実質2%以上、名目3%以上の経済成長が中長期的に確保されるケースでも20年度に6.5兆円程度の赤字(GDP比マイナス1.1%)が残る。成長率が現在の潜在成長率並みの実質1%弱、名目1%台半ばで推移すると12兆円強の赤字となる。

 いうまでもなく、この試算は税率10%とする消費税増税が予定通り来春に実施されることを前提としている。

 消費増税を財政再建目標年度の直前にまで再延期するとなれば「20年度黒字化」の大看板を下ろさざるをえないのではないか。

 さらに年金、医療、子育て支援など社会保障制度の充実を目的とした消費税増税の先送りは、国民の将来への不安感を増幅し、家計の消費を一段と冷え込ませかねない。増税延期は景気を下支えするよりは、むしろ悪化させる公算が大きい。それだけではない。せっかく底入れした気配がある出生率の動向にも影響しかねない。

 それにしても増税延期を国民は歓迎するのだろうか。今回の参議院選挙から、目先よりは将来に関心があるはずの18、19歳の若者が投票に参加する。

 財政再建計画の抜本的な見直しと規制排除を中核にした成長戦略の再強化が必須である。

(一直)



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