大機小機 王様より王党的な 2016/06/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 王様より王党的な」です。





 為替を巡る各国のさや当てが活発になってきた。米財務省が議会に対する半期報告で、日本を中国、ドイツ、韓国、台湾と並び「監視対象」に指定したからだ。日本ばかりが標的にされたかのような議論も散見される。本当だろうか。

 そうではない。韓国では蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。米中戦略・経済対話に出席する途中でソウルに寄ったルー米財務長官は3日、リッパート駐韓大使と韓国銀行(中央銀行)に足を運んだ。

 そこでルー長官は、李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁と非公式に為替問題を話し合った。米財務長官による韓銀訪問は初めてであり、中央銀行の総裁に直接為替の問題を取り上げたのは「異例だ」と、韓国紙「朝鮮日報」は指摘する。

 ルー長官は続いて柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相と会談し、「為替相場が一方的に動かないことを望む」とクギを刺した。ウォン安をけん制したのである。「朝鮮日報」の社説の見出しは、「為替介入をやめろ」という米国側の主張からとっている。

 2015年の韓国の経常黒字は国内総生産(GDP)の7.7%にものぼっている。対米貿易黒字をみても、米韓自由貿易協定(FTA)が発効した12年の18兆ウォンから、15年には30兆ウォンに急増している。

 経常黒字のGDP比といえば、韓国も三尺下がる国がある。ドイツである。15年には8.5%に達している。15年の対米貿易黒字も742億ドルと拡大中で、日本の対米黒字の686億ドルを上回る。かの国は健全財政の裏側で、対外不均衡を蓄積しているのである。

 戦略・経済対話を交わした中国をみると、15年の経常黒字のGDP比は3.1%と、日本の3.3%とほぼ同水準。ところが、対米貿易黒字は3657億ドルと桁違いの大きさである。米国側が中国に内需拡大を求めるのも、むべなるかな。

 こうみると、経常黒字のGDP比ではドイツと韓国が、対米貿易黒字では中国が突出した存在であることが分かる。大統領選を控えて立場が微妙な米当局に、日本側がケンカを売るのは得策ではない。それにしても、エコノミストならデータに基づいて語るべきだ。例えば「王様より王党的」にドイツの健全財政を褒めそやす向きは、コインの裏側を見ていない。

(和悦)



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