大機小機 米国の「落ちた偶像」 2014/08/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 米国の「落ちた偶像」」です。





 雇用情勢や企業業績の改善に支えられ、米国株は過去最高値圏にあるが、ボラティリティー(変動率)は低く、過熱感はみられない。米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るとしても低金利、金融緩和政策は維持されるとみられ、米国株は当面緩やかな右肩上がりを続けよう。

 経済と市場が穏やかに安定しているのにもかかわらずオバマ大統領の人気は下落している。政権のレームダック化が始まったとの見方は多い。

 実際、オバマ政権の不手際は国内外で相次いでいる。欧州は建前上、国際法違反であるロシアのクリミア併合を非難するが、巨額の財政支援が必要とされるウクライナには、当初から深入りを避ける意向が強かった。中でも経済の相互依存が進むドイツは、メルケル首相が水面下でロシアのプーチン大統領と問題の落としどころを話し合っていた、と伝えられる。

 しかし、米国流の大義を掲げたオバマ大統領の登場で事態は混迷し、解決への道は遠のいた。腰の据わらないオバマ外交はシリア、イラク、ガザの紛争では調停役となりえず、南シナ海や尖閣諸島では中国の侵略的な行為を招いている。

 金融市場でもオバマ危機が懸念される。米司法当局は米国の経済制裁下にあるスーダン、キューバ、イランなどと取引を続けていたフランスの大手銀行、BNPパリバに約9000億円の罰金を科すと発表した。

 しかし仏をはじめ欧州では、こうした国との取引は違法とされておらず、米国の外交政策に背いたことで巨額の罰金を科すことの正当性を問う声は多い。米当局はドイツ銀行や仏大手のソシエテ・ジェネラルなどにも調査の手を広げており、世界の金融システムの波乱要因となりかねない。

 オバマ大統領は就任当時、社会的不公平をもたらす格差の是正に強い決意で取り組む姿勢を見せていた。しかし格差の拡大は続いており、米国では上位1割の富裕層の所得の比率は全体の5割を超える。元財務長官のサマーズ氏は所得格差の広がりが富の集中を進め、米国に構造的な低成長をもたらしたと主張する。

 この問題は多くの米国民にとっても最大の関心事だが、オバマ政権は有効な対策を見いだせていない。変革を果たせない大統領への米国民の視線は「落ちた偶像」を見るように冷たい。

(逗子)

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