大機小機 脱デフレとインフレ目標の峻別 2016/05/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 脱デフレとインフレ目標の峻別」です。





 マイナス金利の評価が分かれ、金融政策限界論が勢いづいている。だが金融政策だけで実質経済が成長するわけはないし、2%のインフレは未達でも異次元緩和の成果は大きい。

 20年来、金融政策の懸案はデフレ脱却だった。異次元緩和を導入した3年前までマイナスだった消費者物価(生鮮食品とエネルギーを除く)の基調的な上昇率は1%程度となっているし、国内総生産(GDP)デフレーターは過去2年、2%程度で推移している。

 デフレ脱却を長年目指してきた日銀は「安定的に0%以上」を当初の目標にした。その後「2%以下のプラス」「1%」と変更し、異次元緩和の時から2%のインフレ目標を設定した。異次元緩和導入1年後から現在までの2年間は、黒田東彦総裁が就く前に日銀が目指していたデフレ脱却の基準を全て満たしていることになる。

 元来2%のインフレ目標は、数十年先を見通した安定成長基盤としての長期目標で、デフレ脱却はそこに至る直近の通過点である。それを発表時に明確に区別しなかったため、現在は「2%のインフレ目標値が達成されなければデフレ脱却ではない」と一般に認識されているのではないか。

 一旦デフレに陥ると脱却は困難という日本の教訓から、米国では未然の大胆な金融緩和でデフレ突入を防ぎ、現在は緩和の出口を探る成長軌道に戻っている。だが米国でも、日本と同じ2%のインフレ目標を設定しているが、それにはまだ届いていない。

 既に日本経済はデフレから明確に脱却している。政府・日銀はためらいなくデフレ脱却宣言をすべきだ。そのうえで安定成長のための2%のインフレ目標を今後も長期的に追求する確約をすればよい。それが常に将来を予想して行動する国民の消費や投資行動を変化させる。

 原油は広範な素材で、その価格の下落は消費者物価全般に及び、物価上昇率を一時的に引き下げている。だが実体経済にとっては望ましい変化であり、物価指数の短期的変動にこだわる必要はない。

 日本経済が成長軌道に戻るには、まずデフレ脱却宣言によるデフレマインドの完全払拭と、2%の長期目標としての丁寧な説明による国民の理解が必要である。

(桃李)



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