大機小機 財政は立て直せるのか 2015/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「大機小機 財政は立て直せるのか」です。





 ギリシャの債務危機はとりあえず小康を得たが、翻って日本の財政再建は大丈夫なのか。

 政府は6月末に新たな財政健全化計画を公表した。2020年度に国・地方の基礎的財政収支の黒字化を目指すという。

 基礎的財政収支というのは、税収のみで政策的経費を賄うとした場合の収支のことである。

 名目成長率と長期金利(国債金利)が等しい状態で基礎的収支がバランスしていれば国債など長期債務残高の国内総生産(GDP)比は一定だ。金利が成長率を多少上回っても基礎的収支の黒字が確保できればやはり安定する。

 長期債務残高の名目GDP比はこの10年で倍増し今年度末には2倍を超える見通しだが、この上昇にストップがかかれば長期債務は管理可能だ。この意味で基礎的収支を財政健全化指標とした小泉純一郎政権以来の方針が堅持されていることは評価できよう。問題は目標が達成できるかだ。

 新財政健全化計画にあわせて内閣府が示した中長期の財政見通しでは、成長率の前提を名目3%、実質2%とする経済再生ケースでも、20年度に6.2兆円の赤字が残る。この見通しは甘すぎないか。試算では20年度の税収を約69.5兆円とみている。今年度予算では54.5兆円だから今後、年率5%で増加すると想定しているわけだ。

 成長率に対する税収の伸び率(税収弾性値)は実に1.66になる。ちなみに1970年度から昨年度までの税収弾性値は1.05である。税率が累進的な個人所得税の比重が低下していることを考慮すれば今後も1程度とみるべきだ。

 成長率3%という想定自体、かなり現実離れしているうえに、税収弾性値を高く見過ぎている。

 一方、歳出。基礎的財政収支対象経費は年率2.3%で増加するとみている。15年度までの5年間では0.55%で伸びてきた。

 政府の姿勢をみる限り歳出見通しの方は案外、的を射ているのではないか。来年度政府予算の概算要求基準が決まったが、歳出総額の上限を設定しないのだという。昨年からの税収増で早くも歯止めがきかなくなったのだろう。税収を過大に見積もっているのだから、歳出削減に不退転の覚悟で取り組まなければ財政再建は危うい。

(一直)



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