官僚の独立性 二大政党制の定着 カギ 2018/06/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「官僚の独立性 二大政党制の定着 カギ」です。





――日本では英国が政治行政改革の手本として意識されてきました。

「英国で最初の官僚制度改革は19世紀に遡る。大英帝国の絶頂期で、世界中の植民地を適切に経営するために大量の有能な官僚が必要だった。だが階級に基づく縁故主義などがはびこっていた。実力主義を徹底した公正な評価制度を構築するとともに、官僚には政治権力からの独立性が求められるようになった」

――政と官の関係をどう律していますか。

「もっとも重要な役割を果たしているのは二大政党制だ。もちろん保守党のサッチャー政権や労働党のブレア政権のように一方の政党が長期にわたり政権を握ることはある。それでも常に政権交代が起こりうるという緊張感が官僚たちが1つの政党に依存したり、癒着したりするリスクを軽減させている。中期的に報復人事を恐れて権力におもねる必要もない。官僚の独立性の神髄を支えているのは二大政党制だ」

――二大政党制は米国でも根付いています。

「根源的な違いは、米国の官僚組織は政治任用の色彩が非常に強いということだ。英国は官僚に対して『非政治的』であることをもっとも重視している。官僚は常に時の政権に対して最大限の能力を発揮することが求められ、政権交代を円滑に実現する要となる。総選挙の前に、政権交代の可能性のある野党に対して官僚たちが重要事項について意見交換する慣習があるのもそのためだ」

――なぜ官僚の非政治性が大切なのですか。

「英国では政治家や閣僚が骨太の方針や政策を打ち出し、官僚が分析して政策を実行するという役割分担だ。官僚が非政治的なら、より客観的な分析や率直な助言が可能になる。『証拠に基づいた政策実行』を重視する傾向は強まっている。官僚の最大の任務は政策を最も効果的に実現すること、与野党の議員に根回しする慣習もない」

「ただ官僚の中立性にこだわりすぎると、ダイナミズムを欠く面もある。過去20年ぐらいは、省庁を超えた人事異動や民間からの登用が盛んになっているほか、特別顧問の任命も増えている。客観性と独創性のバランスを模索している」

――英国は欧州連合(EU)離脱など激動期にあります。

「官僚が職務を遂行する上で非常に難しい状況だ。EU離脱による混乱だけでなく、メイ政権が昨年の総選挙で敗北して少数与党政権となり、明確な方向性を打ち出せていない。長期的に議会の役割がより問われる。EU離脱に伴い議会の立法機能が重要になるからだ。官僚も自らの視点を示すことが求められる」

――日本の政と官の現状をどう見ますか。

「1990年代以来の政治主導の方向性は正しい。多くの骨太の政策は強い首相官邸なしにはありえなかった。一方で権力の集中は権力の乱用をもたらす危険もある」

「最大の問題は官邸、そして官邸と官僚の関係を監視し、圧力を与える強い野党がいないことだ。財務省の決裁文書改ざんなどは、政権交代があり得るとの認識があれば、官僚にとって損にしかならない行為だと明白なはず。英国では官僚が文書をなかなか公表しないことはあるが、改ざんは例がない。前財務次官のセクハラ問題など、官僚は誰よりも厳格な順法者でなければならないとの認識も揺れているように見える」

(1面参照)

1面参照

 Bill Emmott 英エコノミスト誌で東京支局長などを経て1993~2006年に編集長。61歳



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