家でおいしいコーヒーを(5) ついに焙煎 妻も納得の味に 散らばる皮は大目に見て 2015/07/03 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のくらし面にある「家でおいしいコーヒーを(5) ついに焙煎 妻も納得の味に 散らばる皮は大目に見て」です。

コーヒーの楽しみ方を物語のように語ってくれたこの記事、今回が最終回のようです。読みやすい書きっぷりで、日本経済新聞でありながら、コーヒー好きにはたまらないコラムだったと思います。





 栽培された地域の土壌、気象条件などがコーヒーの味わいに反映されると聞いて、ワインを連想した。だが、両者には決定的に違う点がある。ワインは熟成を除けば生産者から出荷された段階で完成している。コーヒーは出荷された生豆を最後に焙煎(ばいせん)し、成分を抽出して完成品となる。

焙煎は豆に含まれている水分を蒸発させる感覚

 自家焙煎コーヒー店のマスター、関口恭一さんは「おいしさを左右するのは焙煎です」と断言する。独特の味や香りは焙煎によって生まれるのだ。店を開くならプロ仕様の高価な機材が必要だが、実は家族で飲む分量程度なら豆を焼くのは家庭でも可能だそうだ。実際にそうやって自分だけのコーヒーを楽しむ愛好家もいる。それならば、自分で焙煎もやってみなければ。

 用意するのはインターネット通販などで2千円程度で買えるふた付きの焙煎網。これにカセットコンロと冷却用のドライヤー、軍手で準備OK。大きさ、形を選別したグリーンの生豆120グラムを焙煎網に入れて、中火で煎る。網は10センチちょっと火から離してできるだけ一定の距離を保つ。常に揺すり続けて豆全体を熱する。

 「焼くというよりも、豆に含まれている水分を蒸発させると考えてください」と関口さん。とにかく腕が疲れる。青臭いが香ばしい匂いはするが、なかなか豆に変化はない。何度か腕を交代させながら揺すっていると、8分20秒ほどでパチパチとはぜる音がした。少し理想より早くなったが、この時点で豆の温度は180度だという。

 ここから30秒から1分程度で火から外す。いつのまにか豆はきれいな茶色に。ドライヤーの涼風を下から当てて網を揺すりながら一気に冷やす。豆からはがれた皮が大量に床に散らばって悲惨な状況となる。浅煎りから中浅煎りのコーヒー豆ができた。五十男の両腕はくたくたで床も汚れるが、意外と簡単だった。

 関口さんが店の商品のように袋に詰めて渡してくれた。割れた豆や焦げた豆は取り除いてある。「水分が蒸発して100グラムほどです。2日後くらいからおいしいですよ」。焙煎直後は特有の香りはまだ弱く、少し待った方がおいしくなるそうだ。

 2日後、自宅で飲んでみた。ほどよい酸味と苦味、ほのかな甘みもあり、プロが焙煎した豆よりおいしいとさえ感じる。「うちのコーヒーのレベルが上がったね」と妻の評価も上々だ。

 自分で生豆を焼き、粉にして、お湯を落とした、と考えると、格別な味わいとなる。失敗したとしても、それは知らなかった味が生まれてくるチャンスでもある。「週末はベランダで焙煎するか」。ただし、飛び散る豆の皮の残骸を見れば、今は機嫌の良さそうな妻の顔色が一変するのは間違いない。

=この項おわり

コーヒーは世界中で最も消費される嗜好品。一人ひとりに自分だけのおいしさを感じる瞬間があるからだろう。



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