宿泊税、訪日客増が追い風京都に続き北海道も検討 「おもてなし 」体制強化 2017/10/2 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「宿泊税、訪日客増が追い風京都に続き北海道も検討 「おもてなし」体制強化 」です。





 宿泊客に課税する宿泊税の導入が相次ぐ。2002年に東京都が導入した後、追随する動きはなかったが、大阪府が今年から開始。京都市は来年10月をめどに始める予定で、北海道も検討中など導入機運が高まっている。訪日外国人(インバウンド)の急増で受け入れ体制を整備するのが目的だ。自治体にとっては独自の財源を確保できるが、新たな課題もでている。

 「バスの混雑がひどい」「市営バスは本来市民の足のはずでは」。京都市内では観光客による交通の混雑で市民の不満が高まっている。昨年、京都市内に宿泊した観光客数は1415万人と過去最高を更新。観光案内などインバウンドの受け入れに伴う財政上の負担も課題となり、市内の宿泊施設に泊まった観光客に課税することを決めた。

全施設を対象に

 対象は民泊利用者などを含む全宿泊施設。宿泊料金に応じて、1人1泊あたり200~千円を課税する方針だ。市内には空き家やマンションの一室を使う民泊が5000軒以上あるとみられ、民泊への宿泊者は昨年110万人に上ると市は推計する。

 課税で旅行者の負担は増し、小規模な宿泊事業者の事務負担は重い。それでも、既存のホテル・旅館だけでなく「広く薄く負担を求めるべきだ」と判断した。

 欧米の都市では以前から、観光客に宿泊税を課しそれを財源に受け入れ体制を整備する手法があった。日本では財政難のなか、東京都が先陣を切って02年に導入。他の自治体も新たな財源として検討したが、関係者の反対が根強く実現できなかった。

 そこに訪れたのがインバウンド。経済効果は大きく、宿泊税を長年研究する公益財団法人・日本交通公社の塩谷英生観光経済研究部長は、「外国人を受け入れるために、課税は『やむなし』とここ数年で理解が広まった」と分析。大阪府に続いて京都市も導入し、「今後は観光予算を確保しようと、各地で導入が相次ぐ」とみている。

 北海道は高橋はるみ知事が3月に検討を表明し、7月から審議会で具体的な協議を始めた。16年度の訪日客数は230万人と5年前の約4倍の水準。観光地への交通アクセスの整備が追いつかず、観光業界の人材育成も課題で、新たな財源確保が急務となった。

 金沢市も5月に6つの課を横断したチームを立ち上げ、8月には市内220の宿泊施設を対象に調査を実施するなど導入の検討を始めた。北陸新幹線の開業で観光客が急激に増加。歴史的な街並みを大勢の観光客が見学し、住民の間で不満が高まっていたことが背景にあり、地元経済界が市長に提言した。

 期待は高いが、詰めるべき点も多い。北海道の場合、宿泊者の5割超は道民が占める。具体的な使途も定まっていないため、「納税者の理解を得られる仕組みにすることが不可欠」(道幹部)と思案する。

 文化財の修繕や観光案内の外国語対応などに毎年100億円以上を投じてきた京都市は、宿泊税で見込む45億円をこうした費用に充てる考え。混雑対策として利用客の多いバス停にカメラを設置し、混雑状況に応じて臨時バスを運行するといった対策を急ぐ。

 ただ、バスの増便には限りがある。観光客を抑制しない限り、宿泊税という新たな財源を得ても抜本的な混雑解決は難しいのが実情だ。観光公害という言葉も聞かれるなか、「観光客にも負担を求めることで、住民の理解を得る」(市関係者)狙いもあるという。

二重課税の恐れ

 今後、課税する自治体が増えると別の問題も生じる。北海道では外国人のスキー客に人気のニセコ地区を抱える倶知安町が19年11月にも導入を目指す。道と二重の課税になりかねず、西江栄二町長は「我々は以前から議論を進めてきたのに、道庁の動きは唐突。負担者が納得できる使い道を示せるのか」と疑問を呈する。

 観光客への課税については、観光庁が9月、「観光財源のあり方検討会」を発足。出国税導入の議論を始め、国も新たな財源確保策として注目している。観光予算を巡っては、国の助成金を得た市町村が、県と同じような観光振興策を展開するといった無駄も指摘されている。課税でも重複しないよう、「国と自治体の役割分担やすみ分けが不可欠」(交通公社の塩谷氏)となる。



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