対シンガポール、陰る蜜月 マレーシア 2018/06/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「対シンガポール、陰る蜜月 マレーシア」です。





【シンガポール=中野貴司】マレーシアと隣国シンガポールの関係にさざ波が立ち始めている。5月に就任したマハティール首相が、水供給契約など両国間の取り決めの見直しに相次ぎ言及しているためだ。ナジブ前政権時代に強まった協力関係が後退するリスクが高まっている。

マハティール首相は25日、シンガポール国営のチャンネル・ニュース・アジアのインタビューで「シンガポールへの水の供給価格はばかばかしいほど安い。価格の再交渉を提起したい」と述べた。2061年まで続く水の長期供給契約の条件見直しを求めた発言だ。シンガポール外務省は即座に「両国は全ての合意条件に完全に従わなければならない」と反論した。

1965年にマレーシアから分離独立したシンガポールにとって、水の安定供給は独立以来続く大きな課題だ。下水の再処理や海水の淡水化技術を磨き、マレーシアへの依存度を下げてきたが、完全な自給は達成できていない。

マハティール氏は最初に首相に就いた1981~03年にも水供給価格の大幅引き上げを求め、シンガポールとの関係が時にぎくしゃくした。シンガポールが神経質になりがちな問題であるだけに、今回も強硬姿勢を貫けば両国の不協和音が高まる恐れがある。

マハティール氏は26年開業予定だったクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画も「多額のお金がかかるだけで、利益にならない」と一方的に中止を表明。両国の証券取引所に上場する株式を個人投資家が国境を越えて売買できるようにする構想の見直しも唱え、年末までの実現がにわかに不透明になっている。

マハティール氏が水供給の価格引き上げなどを求める背景にはマレーシアの厳しい財政事情がある。国の債務額が従来の公表値を大きく上回る1兆リンギ(約27兆円)超に上る実態が明らかになり、ナジブ前政権が進めていた大型インフラ整備計画の見直しや歳入を増やす施策が必要になった。

ただ水供給契約の見直しには両国の合意が必要で、シンガポール政府との交渉は難航が予想される。高速鉄道計画の中止に伴う違約金の発生など、新たな負担が生じる案件もある。すれ違いが深刻になれば、相互依存を強める両国経済にも負の影響を与えかねない。

両国はこれまでも度々、緊張をはらんだ関係にあった。シンガポールの故リー・クアンユー元首相は回顧録で「2国間に意見の相違があるたびにマレーシアは水の供給を断つと脅してきた」として、国軍を設立した理由の一つにマレーシアの強硬姿勢があったと明かしている。

ただナジブ政権下では関係改善が進み、両国の政府系ファンドが不動産の共同開発を手がけた。シンガポールのリー・シェンロン首相はマハティール氏が首相に就任するとすぐに表敬訪問した。



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