就職先選び「財務」を見よう ROAで安定性を評価 キャッシュフローも重要 2015/07/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の大学面にある「就職先選び「財務」を見よう ROAで安定性を評価 キャッシュフローも重要」です。





 今年の大学生の就職活動は売り手市場といわれ、会社も優秀な学生の囲い込みに必死だ。複数の会社から内々定をもらっている学生もいるだろう。多くの就職希望先から最終的に1社を選ぶうえで有効なのが、財務分析と自らの五感を駆使した会社の「取材」だ。自分の目と耳、足で集めた情報で最終判断し、納得のいく就職先を選ぼう。

 記者が企業を取材するときのように、就活でも事前に企業の情報を集めるのは大事だ。特に重要なのが財務情報。企業が今後も安定して存続できるのか、将来に向けて成長できるのかなど財務諸表と呼ばれるデータから読み取ることができる。

 代表的な財務諸表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などで、決算短信と呼ばれる資料にまとまっている。企業は年4回、3カ月ごとに決算を開示している。最も注目されるのが、1年間の成果を発表する通期決算だ。

 財務情報を知るには、以前は有価証券報告書という冊子を入手する必要があった。今はインターネットで簡単に財務諸表を見られる。

 日本で多い3月期決算企業の場合、4月後半から5月中ごろにかけて、通期決算を開示する。今なら開示して間もない主要企業の決算資料を閲覧できる。過去分もホームページに掲載する企業は多く、主要な財務指標の推移を入手できる。

 就活生がまず気になるのが、企業の安定性だろう。就職して数年で経営が傾くようでは就活の苦労も水の泡だ。

 経営の安定度をはかる上で重要なデータが、貸借対照表の自己資本比率だ。自己資本比率は資本全体(総資本)のうち、どれだけを返済不要の資本(自己資本)でまかなえているかを示す。自己資本を総資本で割って算出する。

 総資本のうち借入金などは他人資本と呼ばれ、いずれ返さなければいけない。資本金や過去の利益の蓄積が自己資本だ。上場企業の自己資本比率は平均40%程度なので、この水準を上回っていれば合格圏だ。50%以上なら経営の安定度は高く、60~70%あればかなりの優良企業といっていい。

 会社を見るプロである公認会計士の平林亮子さんは、損益計算書の純利益を、貸借対照表の総資産で割って求める総資産利益率(ROA)に注目すべきだと助言する。最近は外国人株主を中心に自己資本利益率(ROE)への注目度が高いが、ROAは企業のビジネスそのものが、うまくいっているかどうか判断できる指標だ。

 ROEは自社株買いなどで改善できるので、就活生はROAに着目すべきだという。平林さんは「3年から5年遡って、ROA10%を維持できていれば、経営の安定度は高い」と判断している。

 さらに平林さんはキャッシュフロー計算書にも目を向けてほしいという。中でも営業活動によるキャッシュフローが重要だ。企業が通常の営業活動を通して、1年間にどれだけの現金、現金同等物を獲得できたかを示す。いわば企業の稼ぐ力を知ることができる。

 営業キャッシュフローを過去5年分見る。5年間プラスが続き、かつ右肩上がりなら、その企業の経営は安定しているとみてよさそうだ。自己資本比率、ROA、営業キャッシュフローを5年分遡って比較してみると、安定度の高い会社を見つけることができそうだ。

 会社は安定成長も大切だが、長く勤める前提なら、将来性も重要だ。もう1人、会社を見るプロ、投資信託会社のトップに聞いてみよう。

 投信会社は小口資金を集めて運用し、その成果を投資家に返す。だから投資対象となる企業の選別は極めて重要だ。コモンズ投信は30年後に成長している企業を選別し、投資するファンドを売り物にしている。長く勤めるのを前提にした就活生なら、コモンズ投信の目線は企業を選ぶ参考になりそうだ。

 同社の伊井哲朗社長は「これからは、海外でビジネスを伸ばせる会社でないと、将来の成長は期待できない」と指摘する。研究開発費や設備投資費にも注目するが、伊井社長は「海外売上高比率や外国人社員比率をみて、グローバル展開の可能性を判断する」という。

 役員陣のプロフィルや社員の年齢構成も、将来性を見る材料となる。これからはライバル企業は国内とは限らない。将来を展望した成長を考えるなら、海外の同業他社との比較も必要だ。

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