展望2017(4) 対テロで民主主義同盟を NATO 前事務総長のラスムセン氏 2016/12/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「展望2017(4) 対テロで民主主義同盟を NATO前事務総長のラスムセン氏」です。





 ――2017年の世界情勢の行方をどうみていますか。

アナス・フォー・ラスムセン氏

 「世界の現状をひと言で表現すれば『炎上している』だ。いたるところで戦争やテロが起きている。武力行使に後ろ向きだったオバマ米大統領の外交政策は世界を平和に向かわせるのではなく、逆に炎上させてきた」

 「今、世界に必要なのは国際法と国際秩序を回復させる世界の警察官だ。米国のほかにその任務を担える国はない。今後数年が将来の世界秩序と米国の地位を決定づける。もし自国の国づくりに集中すれば、米国の敵国が力を増し、友好国は弱体化し、世界はさらに不安定になる」

 ――民主主義国家の結集を主張しています。

 「世界にテロリズムや独裁が広がっている。後退気味の自由と民主主義を促進し、保護を強化するためには、世界中の民主主義国家を集めた『民主主義同盟』を構築して連携を深めるべきだ」

 「今も日米欧による主要7カ国(G7)などの枠組みはあるが、世界中の民主主義国家が一堂に会する枠組みはない。トランプ次期米大統領はワシントンでの会議開催に力を注ぐべきだ。テロなどの脅威に対抗するため、基本的な価値や理念を共有する民主主義国家が協力できることは多い」

 ――英国の欧州連合(EU)離脱決定や難民問題、大衆迎合主義(ポピュリズム)の台頭で欧州が揺らいでいます。

 「危機を乗り越えるために強力なリーダーシップが欧州に必要なのは明らかだが、人々はより強力なEUを望んでいない。新たな協力モデルを生み出す必要がある。分野ごとに加盟国にEUレベルの政策に加わるかどうかの選択を認めるなど柔軟な協力モデルこそ、欧州が前に進める唯一の道だろう」

 「英国のEU離脱はハード(強硬)にならざるを得ない。英国にとっての基本は移民の受け入れ制限だが、人の移動の自由を受け入れられなければ、EUの単一市場に参加できない。日本も自動車など多くの分野で英国に投資しているが、どこへ投資を移すべきか考慮しなければならなくなるだろう」

 ――トランプ氏は米大統領選で北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」などと批判してきました。

 「NATOはトランプ氏の大統領就任後、100日以内に首脳会議を開くのが理想的だ。そこでは3つのメッセージを発信すべきだ」

 「第1は、欧州が防衛費を積み増す姿勢だ。冷戦後、各国は“平和の配当”として防衛費を削減してきた。ロシアがパートナーとなったと考えたからだが、実際は違った。NATOは14年の首脳会議で、各国の防衛費を10年以内に国内総生産(GDP)比2%以上に増やすと約束した。さらなる目標達成時期の前倒しを示すべきだ」

 「第2に、トランプ氏は同盟国に対する攻撃があれば、いかなる場合も疑いなく米国は同盟国を守ると言うべきだ。NATOの集団的自衛権に不安を抱いている人々にメッセージを送る必要がある。第3にウクライナへの支援強化だ。NATOは友人を助けるという重要な指標になる」

(聞き手はブリュッセル=森本学)

 アナス・フォー・ラスムセン氏 デンマーク首相を経て、09年から14年まで北大西洋条約機構(NATO)事務総長。近著で米国に世界のリーダー復帰を呼び掛けている。63歳。



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