岐路の大国インドネシア(中) インフラ整備、財源が壁 各種補助金削減、問われる指導力 2014/07/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「岐路の大国インドネシア(中) インフラ整備、財源が壁 各種補助金削減、問われる指導力」です。





 「今でも港から工場までの約50キロに2時間半かかる。5年後には片道9時間まで渋滞が悪化しかねない」。インドネシアの首都ジャカルタの東方に工場を構えるトヨタ自動車。同工場の幹部は、インフラ不足で将来、操業に支障が出かねないと危機感を募らせる。

激しく渋滞するジャカルタの市街地(6月)

慢性的な渋滞

 インドネシアの新車販売台数はこの10年で3倍に膨らみ、首都を走る車は毎年1割ほど増えているが、「道路容量はほぼ横ばい」(交通当局)。慢性的な渋滞で中心部では平均時速が10キロメートルを切る。世界銀行の物流効率調査でインドネシアは世界53位。タイは35位、マレーシアは25位だ。

 2004年発足のユドヨノ政権のもと、実質国内総生産は10年で1.8倍に膨らんだ。成長に見合ったインフラ整備が急務で、次期大統領のジョコ・ウィドド氏は2000キロメートルの道路や港湾・空港の整備に向け、「土地収用や予算消化を加速させる」と意気込む。

 インフラ不足を解消できるかは政府の体質改善にかかる。財源確保には歳出の約2割を占める燃料補助金など各種補助金の削減は不可欠だ。インフラ関連事業では汚職も後を絶たない。既得権者を抑え込むリーダーシップも求められる。

外資導入に暗雲

 成長のもう一つのカギとなる「開国」には暗雲が漂う。

 6月中旬にジャカルタで開かれた大統領選の候補者討論会。テーマが15年末予定の東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体発足に及ぶと、ジョコ氏は「外資への参入障壁は当然」「認可は国内企業を優先」と保護主義的発言を連発した。現政権が導入した未加工のニッケル鉱石などの禁輸も継承する見通しだ。

 内向き志向は国内産業の競争力への不安が背景にある。「インドネシア製品の69%はASEAN市場で競争力を持たない」。産業省は最近、約4000の品目の輸出実績などを点検してこんな調査をまとめた。産業省高官は「素材や燃料の輸入依存が高く、コスト効率が悪い」と嘆く。

 輸出額に占める鉱物・油脂資源の割合は足元で約5割。02年の約3割から拡大の一途だ。競争力のある製造業の育成が遅れ、豊富な天然資源への依存が強まる構図だ。

 12年から、財政・経常両面の「双子の赤字」が続く。補助金頼みで内需が背伸びをし、輸出が振興できなければ、海外マネー頼みの構造は続く。通貨が投機筋の標的になるリスクはくすぶる。

 ASEAN最大の2億5千万人の人口の約半数が30歳未満で、働き手となる生産年齢人口が多数を占める「人口ボーナス期」が30年ごろまで続く。13年の国際協力銀行(JBIC)のアンケートでは製造業の有望な投資先でインドネシアは初めて首位に立った。

 インフラを整え、規制緩和と外資導入を進める――。人口大国の潜在力を生かす処方箋は明確だ。痛みを伴う改革を進められるかは、ジョコ氏の双肩にかかる。

(ジャカルタ=渡辺禎央)

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