市場の力学 投資の新潮流(3)スター銘柄 どこへ行った 指数で売買、消える個性 2016/04/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「市場の力学 投資の新潮流(3)スター銘柄 どこへ行った 指数で売買、消える個性」です。





 日銀が1月末にマイナス金利政策の導入を決めてから、急速に資金が流入している金融商品がある。野村アセットマネジメントが運用する「日本株高配当70」。配当利回りが高い70銘柄を組み入れる上場投資信託(ETF)で、純資産の総額は600億円に達した。

配当追う傾向も

 「成長への夢より、配当を通じたリターンを追求する時代が訪れようとしている」。証券市場に携わって30年になる日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストはこう話す。

 期間10年の国債利回りはマイナスに沈み、株式の配当利回りとの差は2%強とかつてない水準にまで広がっている。

 投資理論の基本では値上がりが狙える株式の配当利回りは国債の利回りより低くなる。これほど差がついたのは世界経済の成長が鈍化し、株価が短期間で数倍に値上がりするような企業を見つけにくくなったからだ。

 個別株に夢が抱きにくいなか、投資家の行動は大きく二つに分かれる。

 一つはひたすら利回りを求め、債券の代替として株を買う動き。財務が強固で配当の原資も豊富な企業に資金が向かう。

 もう一つは個別の株ではなく、多くの銘柄を束ねた「株価指数」を対象にした売買だ。

 相場が大きく変動した2月。売買代金がトヨタ自動車の2.5倍に及んだ「銘柄」があった。日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信。1日あたりの平均売買代金は約2500億円に達した。

 「日経レバ」は225銘柄で構成する日経平均株価の2倍の値動きになるよう設計されている。相場にうまくのれば、企業調査の手間をかけず短期に利益が得られる。

 こうした株価指数に投資する「パッシブ投資」の増加は実は日本だけの現象ではない。「丹念に企業を調査しても、それに見合うリターンが得られないとの空気が強まっている」(UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジスト)

 国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測では、年金基金や個人の資金を預かる運用会社の資産のうち、パッシブが占める比率は2020年に22%と12年の11%から倍増する見通しだ。

問われる選別力

 個性が失われていく市場で、銘柄分析が報われることはないだろうか。

 目をこらせば、大きな果実をもたらす「スター銘柄」は今も存在する。シスメックス26倍、楽天24倍、アシックス19倍……。2000年以降で時価総額を10倍以上に拡大させた銘柄は約70ある。

 「市場が不安定な今こそ、企業選別の力が問われる」。大和証券投資信託委託の山本信一インベストメント・オフィサーは3月、社内のファンドマネジャーを前に力を込めた。埋もれた原石を探すため、中小型株300社に重点的にアナリストを置く戦略を掲げた。

 マイナス金利下で投資先を見つけにくい時代。原石を見抜く目が一般の投資家にも求められる。



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