市場の力学 選ばれる会社(中)オーナー企業、株高の秘密 株主の視点、強さの源泉 2016/07/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「市場の力学 選ばれる会社(中)オーナー企業、株高の秘密 株主の視点、強さの源泉」です。





 社内コードは「プロジェクトM」。ユニ・チャームは水面下で2030年の経営目標を策定している。10人ほどのメンバーは30代前半の社員だ。

 もちろん14年後の経営環境は分からない。それでも高原豪久社長は「人材も戦略も技術も常識外れに進化させる」と若手が描く未来に期待をかける。コード名の「M」は突然変異を表す。

 高原社長は創業者で父の慶一朗氏から01年に社長を引き継いだ。今も一族で約3割の株を握る。

 在任中に売上高を3倍に増やした原動力を求めると、オーナー社長ゆえの長期視点の経営に行き着く。全ての社員は手帳に10年後のキャリア目標を記して毎年1月に更新する。プロジェクトのメンバーである上田健次経営企画室長は「10年後の自分の姿を真剣に考えないと会社の成長についていけない」と話す。

リーマンの教訓

 リーマン・ショックの教訓は経営者も市場も短期の利益に偏りすぎたことにある。危機を経て投資家が要求するハードルは上がった。求められるのは短期の利益と長期成長の両立だ。

 創業100年を迎えようとする企業が5年で売上高を2倍に増やした。福井県坂井市の土木・建設資材メーカー、前田工繊はM&A(合併・買収)で急成長している。創業家出身の前田征利社長は00年以降、10件のM&Aをこなしてきた。

 最高峰の自動車レース、F1で採用されたタイヤのホイールまで今では前田工繊の事業だ。前田社長は「50%の成功確率があればM&Aはためらわない」と豪語する。スピードと決断力が老舗企業に活力をもたらした。

 在任中に株の時価総額をどれだけ増やしたか。経営者の通信簿ともいえるランキングには日本電産の永守重信社長などオーナー経営者が並ぶ。神戸大学大学院の三品和広教授は「長期の視点で大胆な飛躍を目指せる」と強さの秘密を解説する。

 出光興産は昭和シェル石油との合併を巡り創業家と現経営陣が激しく対立する。オーナーシップは継承が課題だ。ソニーも創業者世代が退くと経営が迷走した。平井一夫社長らが代替として選んだのが自己資本利益率(ROE)になる。経営の効率性を示し、投資家が重視する物差しだ。

最強の統治体制

 見違えたのが10年連続で赤字だった薄型テレビだ。16年3月期まで2年連続で黒字となり今や安定収益源だ。テレビ子会社の高木一郎社長は「株主視点が経営に緊張感をもたらし、利益を生む原動力になった」と話す。

 東京海上アセットマネジメントは経営者が実質的に株主である企業に投資するファンドを運用する。北原淳平マネジャーは「オーナーは株主と利害関係が一致する。最強のガバナンス体制だ」と話す。投資家とは未来の株主だ。株主視点の経営には資金が集まり、それが企業を強くする。



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