市場激動 識者に聞く 日銀限界、企業挑戦を KKRジャパン会長 斉藤惇氏 2016/02/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「市場激動 識者に聞く 日銀限界、企業挑戦を KKRジャパン会長 斉藤惇氏」です。





 ――金融市場は依然、不安定です。

 「昨年後半から、海外の一部で通貨安を狙った(日欧などの)金融緩和競争の限界論がささやかれていた。それでも多くの市場関係者が株高の楽観を崩さなかったので危うさを感じていた。年明けから中国景気の鈍化や原油価格の急落が重なり、投資家が一気にリスク回避に動いた」

 「1980年代後半の日本や2000年代後半の米国で不動産バブルが崩壊した時は、中銀の金融緩和策が最後の救済者の役割を果たした。だが今回は中銀自身がバランスシートを膨らませ、未曽有のカネ余りを生んだ。最後のとりでのいないバブルの後始末をどうするのか、まだ誰にも分からない」

 ――日銀のマイナス金利政策をどうみますか。

 「なぜ日銀はここまで踏み込まざるを得なかったのか。根底には深刻な需要不足がある。黒田東彦総裁も、これで金融機関が融資にお金を振り向けると楽観してはいないと思う。金融政策は潤滑油にすぎないという原則に立ち返るべきだ。アベノミクスの第3の矢である成長戦略が十分な成果を生んでこなかったという現実を直視する必要があるだろう」

 ――何が問題ですか。

 「自動車や鉄鋼といった既存の基幹産業に頼っても解決にならない。政府には環太平洋経済連携協定(TPP)をテコに、日本を農業の輸出大国に変貌させてほしい。医療など有望分野にもっと資金を投じるべきだ。ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大教授ほどの人が、マラソンで研究への寄付を募るというのはおかしい」

 「米国ではフェイスブックやグーグルの持ち株会社アルファベットなどの新興企業が時価総額の上位に食い込んでいる。日本はトヨタ自動車、NTTと顔ぶれがほとんど変わらない。これで本当にやっていけるのかということだ」

 ――となると日本株の上昇余地はあまりないのでしょうか。

 「いや、そうは思わない。1バレル30ドル前後の原油安は、輸入国の日本に大きな『減税効果』をもたらす。悲観に傾く今の市場で、そのプラス効果が正当に評価されているとはいえない」

 「構造改革などを通じて収益力の向上に取り組む企業が増えてきた。円相場が1ドル=115円程度で推移したとしても、原料安の恩恵で来期も増益を確保できるのではないか。今の日本株は良い買い場だと思う」

 ――企業に求められる成長戦略とは。

 「技術革新は当然のことだが、消費者の需要をくみ取ったマーケティングも改善の余地が大きい。経営者には前任者を否定し、新しい次元の成長を目指す挑戦をしてほしい。先進的な企業統治も欠かせない。ブリヂストン、HOYA、オムロンなどお手本になる企業はいろいろある」

 「活発なM&A(合併・買収)は評価できる。同時に外資を受け入れる覚悟も持つべきだろう。技術移転が怖いというが日本はそもそも海外の技術をうまく活用して成長してきた。日本は聖域だといって『閉じた経営』をしていては、その先の成長はない」

(聞き手は川上穣)

=随時掲載

 野村証券副社長、産業再生機構社長を経て、15年6月まで日本取引所グループCEO。76歳。



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