帰ってきたぶり企業 最高益(5) 京王、11年ぶり 最高益 ホテル好調・非鉄道で稼ぐ 2018/1/11 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「帰ってきたぶり企業 最高益(5) 京王、11年ぶり最高益 ホテル好調・非鉄道で稼ぐ」です。





 羽田空港までを結ぶJR浜松町駅から徒歩10分弱。2017年12月に完成した京王電鉄のビジネスホテル「京王プレッソイン」がある。九州から飛行機で訪れた40代の男性は「出張で使いやすく、良いところにホテルができた」と話す。ロビーには英語や中国語、韓国語などの観光パンフレットがずらりと並ぶ。

京王は宿泊特化型ホテルを積極展開している(東京・港)

 京王プレッソインは宿泊特化型。華やかな内装や宴会場を省いた分、客室単価を抑えて高稼働を狙える。都内の赤坂や八重洲、新宿など好立地の不動産を自社で仕入れてコンパクトなホテルを開発。訪日客や出張客の需要を取り込み、平均稼働率は9割近い。

 京王の18年3月期の連結純利益は前期比9%増の230億円と11年ぶりに最高となる見通し。けん引役はホテルなど「非鉄道」事業だ。ホテルを含むレジャー・サービス業の営業利益は07年3月期と比べて55%増。全体に占める非鉄道事業の割合は10ポイント近く増え64%と、私鉄14社で5位だ。

 「はっきりした強みはないが、一つ一つの取り組みを大事にしてきた」(紅村康社長)。沿線に日光や箱根といった著名観光地を持たず自前の不動産も多くないが、顧客ニーズを確実にとらえようとしてきた。効率の良さは群を抜き、非鉄道事業の総資産営業利益率(ROA)は17年3月期に5%と14社で首位だ。

 非鉄道事業への投資を支えるのは、鉄道事業で稼いだキャッシュフロー(現金収支)だ。京王はそこでも高い効率性を発揮する。

 京王の鉄道網は東京・新宿~八王子市、相模原市を結ぶ90キロメートル弱。東武鉄道(463キロ)や西武ホールディングス傘下の西武鉄道(176キロ)などより短く、私鉄大手で13位だ。地域独占の鉄道事業では営業距離が収益に直結する。だが、鉄道距離1キロあたりのキャッシュフローに目を向けると景色が違ってくる。

 鉄道事業の営業利益に減価償却費を加えてEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を求め、鉄道距離1キロあたりを算出してみよう。京王は17年3月期に4億2900万円と東京急行電鉄や小田急電鉄、京浜急行電鉄に次ぐ4位だ。住宅地と商業地を効率よく結び、通勤や通学などの客を取り込んでいる。

 鉄道各社は05年のJR福知山線事故をきっかけに、安全運行のための自動列車制御装置(ATC)などを導入してきた。京王はキャッシュフロー創出力の高さを裏付けに、これら設備投資を十分確保しながら非鉄道事業に成長投資を振り向けてきた。最高益更新に時間がかかったのは、積極投資に伴う減価償却費が高水準で推移したのも一因だ。

 好業績は市場でも評価され、株価は16年2月につけた10年来高値(5495円)にあと400円ほどに迫った。これを超えると、次の節目は1990年5月の5523円。私鉄各社の持つ含み資産が市場で注目された頃だ。上値を追うカギを握るのは、自己資本利益率(ROE)の改善だ。

 京王のROEは17年3月期に6.6%と私鉄14社で最低だ。自己資本比率が40%と高いことがROEを押し下げている。紅村社長は「投資できるものがあれば有利子負債は現在の3300億円から1000億円ほど増えてもいい」と話す。持ち前の効率の良さを生かしつつ、もう一段の積極投資に踏み出していい時期に来ている。

(須賀恭平)



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