強権トルコ、中東の不安 エルドアン大統領再選 2018/06/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「強権トルコ、中東の不安 エルドアン大統領再選」です。





【イスタンブール=佐野彰洋】24日投開票のトルコ大統領選でエルドアン大統領が再選を果たし、行政の広範な権限も手中に収めた。強硬的な独自の外交・安保政策を続ける公算が大きく、シリアやイラクへの軍事介入は中東情勢の混迷に拍車をかけかねない。欧米との関係改善は進まず、脆弱な国内経済に跳ね返るおそれもある。地政学上の要衝であるトルコの強権統治は、安保や経済で地域の不安の種になる。

(画像:25日未明、アンカラのAKP本部に集まった支持者に手を振るエルドアン大統領(右)=ロイター)

「シリアの地をさらに解放し、難民を無事に帰還させる」。エルドアン氏は25日未明、首都アンカラで勝利演説し、安保の脅威とみるシリア北部のクルド人武装勢力の掃討強化を示唆した。

総選挙ではエルドアン氏が率いる与党・公正発展党(AKP)は単独で国会過半数に届かなかった。そのため連携する極右政党の存在感が増すとみられている。

欧州と中東のはざまに位置し、北大西洋条約機構(NATO)の一員でもあるトルコは、本来地域安定に責任を負う存在のはずだ。欧州連合(EU)加盟を推進するなど、伝統的には欧米重視の外交を展開してきた。それがイスラム色の濃いエルドアン政権の長期化と個人支配の強化で、中東情勢に独自の利害を基準として関与する構図が深まっている。

悪化している欧米との関係は改善しそうにない。EU諸国の指導者は票目当てに過激な欧米批判を繰り返すエルドアン氏を忌避し、加盟交渉は凍結状態にある。2016年に起きたクーデター未遂事件では、トルコは首謀者と断定した在米イスラム教指導者ギュレン師の送還を求めているが、米国は応じていない。

欧米との距離が開く一方、トルコはシリア情勢や天然ガス輸送を巡りロシアとの関係を深める。NATO加盟国でありながらロシアの最新鋭地対空ミサイルシステムS400の購入も決めた。業を煮やした米上院は18日、19年度の防衛予算案で最新鋭ステルス戦闘機F35のトルコへの売却を禁じる修正を加えた。

シンクタンクEDAMのシナン・ユルゲン会長は「トルコはロシアへの接近が続く一方、EUや米国とは冷え込んだ関係が続く」と指摘する。

ツケは経済に回る。トルコは通貨リラの下落と物価高の悪循環にはまっている。欧州とアジアの結び目という地の利を生かしてグローバル企業の拠点を引き付けてきたが、海外からの直接投資減少が鮮明だ。

トルコの対外債務と経常赤字を合わせた向こう1年の資金需要は外貨準備の2倍にあたる2200億ドル(24兆円)に達するが、強権統治をリスクと意識する海外マネーの離反に拍車がかかるおそれもある。



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