役員給与、アジア勢が上 中国4000万円・日本2700万 円 人材獲得で競り負けも 2017/8/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「役員給与、アジア勢が上 中国4000万円・日本2700万円 人材獲得で競り負けも」です。





 中国やシンガポールでは部長の給料は平均2300万~2400万円、日本は2千万円に届かず、取締役はベトナムにも抜かれる――。企業が支払う給与・報酬を国別にみると、役職が高くなるほど海外が日本を上回り、格差が広がることがわかった。日本は若手から課長まではアジア各国を上回るものの、部長・取締役では抜かれる傾向にある。高度な技術や経験を持つ人材の獲得競争が世界的に激しくなるなか、「買い負け」リスクも指摘されている。

 人事コンサルティング大手の米マーサーが世界125カ国の2万5千社、1500万人以上の2016年度の報酬(予定額)を調べ、平均為替レートで日本円換算した。日本企業も自動車や家電など上場企業を中心に264社を調べた。対象の多くが大手で金額は高めに出る傾向がある。

 各国の現地企業、外資企業をあわせた部長級の年間の平均給与(額面ベース)をみると、シンガポールが2412万円、中国(上海)は2340万円となる一方、日本は1981万円にとどまる。課長の平均給与は日本(1022万円)がシンガポール(1008万円)や中国(668万円)を上回るのと対照的だ。

 日本の人件費は全体としてはなお高い。日本貿易振興機構(ジェトロ)の直近調査によると、一般的な工場労働者の賃金は東京で月額2339ドルなのに対し、上海は558ドル、ホーチミンは214ドル。日本は海外に比べ役職による格差が小さい構図が浮かぶ。

■高い役職ほど格差

 マーサージャパンの栄立土志コンサルタントは「海外は役割の大きさに応じ惜しみなく給与を配分する」と指摘する。日本は同じ部長職なら主力部門から間接部門まで給与水準をそろえる傾向があるが「海外は稼ぐ花形事業の責任者により多く払う」という。

 取締役になると差はさらに広がる。日本では低位の取締役の報酬は2713万円だが中国は4千万円を超えシンガポールも3535万円が支払われる。ベトナムの2803万円にも抜かれる結果となった。部長まで日本を下回る韓国も取締役では超えている。

 アジアの企業は厚待遇を用意して人材を引き付ける。八木一之さん(59)は16年10月に三井物産から中国の長城汽車に転じた。今はグループ会社の董事総経理として北京で働く。「長城汽車の魏建軍董事長は日本の企業文化を学びたいという姿勢が強い」(八木さん)といい、60歳を超えても報酬は三井物産時代と遜色ない見通しという。日本企業の定年後の再雇用での給料維持は難しい。年齢に応じて報酬が決まる硬直化した制度は人材獲得の足かせになる。

 マーサーの調査は国別だが日本企業の海外法人でも役職が高くなるほど給与が伸び悩む傾向が見える。例えば上海の各社の報酬を比べると日本企業の部長給与は1853万円。中国企業(2012万円)、日系を除く外資企業(2394万円)より低い。課長になりたての頃は日本企業、中国企業、日系を除く外資ともに350万~400万円と大差はなかったが、役職の上昇とともに格差が広がる。

■賃金理由に転職

 日本の電機大手から上海の半導体メーカーに移り、転職支援も手がける男性は「日本人が海外へ転職すると年収が2千万~3千万円になることも多く、3倍に増えることもある」と話す。給与水準の差が日本企業の人材獲得の妨げになることもあるという。ただ短期間に技術やノウハウを得た後に退社を迫る「使い捨て」の事例もある。

 英人材大手ヘイズによると賃金を理由に転職を考える人は増加傾向にある。台湾の人工知能ベンチャーに勤める30代男性の年収は1千万円を超えた。3年前まで勤めた楽天時代の1.5倍以上で「裁量が大きく成果を残した分だけ個人に還元される」と話す。

 人口減少で日本国内の市場が縮む中、日本企業のグローバル化は加速する。製造業だけでなく金融やサービス業でも世界各地で競争は激しくなり、企業の盛衰を分けるようなマネジメント層となる人材の需要は高まる見通しだ。

 しかし、十分な報酬を示さずに人材獲得競争で勝ち抜くのは難しい。成果主義を徹底するだけでなく、上に厚い制度への見直しも必要になってくる。

(安西明秀)



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