心の健康学 言葉にならない思い読む おもてなし 2015/08/02 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「心の健康学 言葉にならない思い読む おもてなし」です。





 新国立競技場の設計が話題になっているが、前回の東京オリンピックの開催時、私はまだ中学生だった。田舎出身で下宿生活をしていた私にとって、当時まだ珍しかったテレビを通して伝えられたアスリートの活躍がまぶしく感じられた。

 今回のオリンピックの招致で「おもてなし」精神が紹介された。だが、自分の人間関係を振り返ってみても、その「おもてなし」の精神を私たちがいつも持てているとは限らない。私は「おもてなし」の精神は、言葉になっていない言葉を感じ取り、読み取る姿勢から生まれると考えている。

 先日、あるカウンセラーの面談記録の録音を聴いていたときにも、言葉にならない言葉を読み取る難しさを感じた。

 面談の中で、カウンセラーは相談者に、臆病にならずに思い切って行動してみてはと勧めていた。相談者は、どんな結果になるかわからないと答えた。そのカウンセラーが、わからないなら行動して試したらとさらに勧め、相談者はどうなるかわからないと答えるという押し問答になった。

 相談者はカウンセラーの提案通りに行動したくないと思い、その気持ちを「わからない」というえん曲な形で表現していた。若いカウンセラーはその本意に気づけないでいたのだ。こうした押し問答が続くとお互いに不愉快な気持ちになる。こころの健康にも好ましくない影響を与える。

 こうした食い違いは、私たちの日常生活の中でもよく起きている。今回紹介したカウンセリングのやりとりは、「おもてなし」のポイントをあらためて考える機会になった。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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