急落相場 個人に深手 下支え役、想定外の損失 2015/08/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「急落相場 個人に深手 下支え役、想定外の損失」です。





 日経平均株価は1週間で2000円強も下落した。「固有の買い材料がある日本株の底値は堅い」という楽観論は消し飛んだ。下げ局面で「逆張り」で買いを入れる個人投資家にも変化が出始めた。想定外の急落に対応できず、信用取引やオプション取引で深手を負い、押し目買いの余力が低下。相場は需給面の有力な下支え役を失った形だ。

 「株価がいくらまで下がったら追い証が発生するのか」。24日午後、カブドットコム証券のコールセンターには顧客から電話が殺到した。問い合わせ件数は通常の2倍以上の規模に膨らんだ。「追い証が発生する前に持ち高を整理する投資家も多かった」(カブコムの荒木利夫氏)という。

 ほかの証券会社も状況は似たり寄ったりだ。松井証券ではトヨタ自動車やみずほフィナンシャルグループなど主力株の一角には押し目買いが入ったが、ミクシィなど「新興市場株には投げ売りが出ていた」(松井の窪田朋一郎氏)。

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 信用取引の含み損益を示す信用評価損益率は24日時点でマイナス17%まで悪化した。窪田氏は「もう一段安になると、主力株でも損切りせざるを得なくなる」と警戒する。

 個人の損切りは信用取引だけではない。懸念が強まっているのはオプション市場だ。強制決済をきっかけに株価が一段安になるリスクがあるという。

 先週前半までは相場の膠着感が強く、下げは限定的とみていた個人はオプションの売り手に回っていた。だが、24日の株価急落で1万9000円(9月限)のプットの価格は前週末比2.9倍の775円まで急騰。売り手は大きな損失を抱えた形だ。

 ほかのプットの価格も軒並み上昇した。オプション取引などに必要な証拠金が25日から約4割引き上げられるとあって、追い証は発生しやすくなっている。

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 追い証が出て期日までに顧客が追加資金を入れないと、証券会社は強制的に顧客の持ち高を手じまう。プットの売りポジションなら強制的な買い戻しだ。だがオプションを急激に買い戻すと、裁定取引を通じて株価指数先物市場に混乱を招く懸念がある。

 こうした取引が株価下落に拍車を掛けたのが2011年の東日本大震災の直後だ。当時は証券会社1社で数十億円単位の追い証が発生。震災後の3月14日昼に強制決済が相次ぎ、午後の一段安につながった。今回も同様の展開になりかねないとの警戒感がある。

 個人の動向には機関投資家も注目している。ある国内運用会社のファンドマネジャーは「直近で信用買い残が増えている銘柄は避けている」と話す。みずほFGや三菱重工業など主力株では3月末比で信用買い残が軒並み膨らんでいる。買い方は含み損を抱えた状態で「こうした銘柄は反発局面でも戻り売りが出て、上値の重さが続く」と読む。

 先高期待が崩れたわけではないが、日経平均の予想変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」は13年7月以来の高水準にあり、当面は荒い相場が続く。想定外の損失を負った個人の傷が癒えるまでには相当の時間がかかるだろう。

(松本裕子)



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