悩める会社 取締役はいま(中) 報酬、株主が監視情報開 示 改革の起点 2016/12/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「悩める会社 取締役はいま(中) 報酬、株主が監視情報開示 改革の起点」です。





 「赤字なのにトップの報酬が約14億円に増額されたのはおかしい」。個人投資家の山口三尊氏は今夏、自動車電装品会社ユーシンの田辺耕二会長兼社長ら取締役や元取締役など7人を相手取り、約5億7千万円の損害賠償を求める株主代表訴訟を起こした。

 問題とされた2014年の田辺氏の報酬は7割増。ユーシンは株主総会で役員報酬の上限をそれまでの10億円から3倍の年30億円に増やしたばかり。「報酬額を急増させることを意図したものではないと会社は説明していたのに、取締役はチェックしたのか」と山口氏。「総額の範囲内での決定であり手続き的に問題はない」とする会社側との綱引きが続く。

 日本企業で役員報酬は長年社長の専管事項とされてきた。株主総会で総額を決めるとあとは社長に配分を任せてきた。だが東京証券取引所が昨年導入した上場企業の行動指針「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」は中長期の業績を反映する株式報酬や報酬プロセスの透明化を企業側に求めている。

 社外取締役を加えた報酬委員会で取締役の報酬内容を議論する企業は東証1部上場の3割にあたる約600社。この2年で3倍に増えた。中長期の業績連動で決定の過程が合理的とされる株式報酬を役員報酬の一部に導入する企業も1年で3倍の約230社になった。

 だが、半身に構える企業も少なくない。日本経済新聞社が実施した「企業法務・弁護士調査」でも、5割近い企業が株式報酬やストックオプション(株式購入権)付与の仕組みを採用していなかった。

 住友金属鉱山は株式報酬を導入していない。市況や為替に業績が影響を受けやすく、成果と株式報酬が連動しにくいというのが理由だ。「自社株が経営陣のインセンティブとして有効と考えていない」と話す。

 神姫バスも株式報酬を導入する計画はない。今の報酬制度は固定給と毎期の業績に連動する賞与の2本立て。発行済み株式約3千万株に対し市場での売買高が月間10万株と少なく、「経営努力が株価に適切に反映すると考えにくい」からだ。

 経営者に業績を高める適切なインセンティブを与える仕組みづくりは一つとは限らない。カギになるのは情報開示だ。

 資生堂は支給基準を明文化し毎年、代表権を持つ取締役の報酬を公表している。昨年は魚谷雅彦社長が1億1900万円、坂井透執行役員常務が4000万円だった。法律で開示義務のない1億円未満も開示するのは、「代表取締役として経営責任を負っている者の責任を明らかにするため」(リーガル・ガバナンス部)。

 カルビーは15年度が最終増益だったにもかかわらず、松本晃会長兼最高経営責任者(CEO)の報酬は4割減となった。3つの数値目標のうち経常利益が未達だったからだ。「株主との約束を守れない以上、潔く受け入れる」と松本会長兼CEO。報酬をガラス張りにして株主と真摯に向き合う第三の道だ。

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