戦後70年 これからの世界 (7)世界の安定、対話と関与で 元米大統領補佐官 ブレント・スコウクロフト氏 2015/08/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「戦後70年 これからの世界 (7)世界の安定、対話と関与で 元米大統領補佐官 ブレント・スコウクロフト氏」です。





 ――戦後70年の歴史をどう総括しますか。

 「最も重要なのは民主主義の繁栄だ。私たちは新たな国際機関を設けて共通の価値観を奨励し、協力関係の強化や責任ある統治に努めてきた。武力行使に発展しかねない対立も、外交交渉で解決しようとしてきた」

 「民主国家は外交・安全保障政策や経済政策の協調に配慮しながら、自国の国益を守ろうとする。完全とは言えないが、民主主義の価値観が広まり、より良い世界になったと思っている」

集団安保構築を

 ――ロシアのクリミア編入や中国の海洋進出など、地政学的な問題が今も後を絶ちません。

 「確かに米国と異なる価値観で動く国がある。だが東の共産主義圏と西の資本主義圏を隔てたかつての冷戦とは明らかに違う。冷戦に戻るとか、新冷戦が始まるというのは言い過ぎだろう」

 「テロや新帝国主義といった脅威に対応するには、国際社会が防衛手段を確立しなければならない。私は集団安保体制の構築が望ましいと思う。米国はもはや世界の警察官たり得ないが、世界の平和と安全に指導力を発揮することはできる」

 ――アフガニスタン・イラク戦争と金融危機で米国の国力が衰え、世界への影響力が低下しているようにみえます。

 「その見方には同意しない。米国はテロとの戦いや温暖化対策に関与し、存在感を発揮している。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国やアジア太平洋諸国との同盟は強固で、主要20カ国・地域(G20)などの重要メンバーでもある」

 「自由を求める人々を引きつける米国の磁力は相変わらずだ。人権の擁護や表現の自由を常に奨励し、友好国の力を結集できるなら、世界の指導者であり続ける

 ――台頭する中国と協力関係を築けますか。

 「米中間には立場の異なる問題がある。米国とアジア太平洋諸国との同盟関係を、中国は『冷戦の遺物』と呼んできた。米国は南シナ海の岩礁埋め立てを続ける中国の行動を懸念している」

 「一方で両国が協力できる課題も多い。温暖化ガスの削減目標を巡る合意は成果のひとつだ。中国が利害を共有する分野で、責任ある役割を果たすのを歓迎したい」

 ――米国は冷戦期のような封じ込め政策ではなく、どのような方針で国益を守るのですか。

 「有害な政策をとる国が現れれば、行動を変えるよう促す。それは基本的に対話と関与を通じて実現すべきだ。オバマ政権が成し遂げたイラン核問題の最終合意やキューバとの国交正常化は、困難な課題をうまく解決した好例だろう」

国連役割見直せ

 ――国際的な統治機構の見直しも必要では。

 「ひとつの方法は国連の改革だ。完全な形にはほど遠いが、戦前と違う統治機構を持てたのは間違いない。その役割をもう一度見つめ直し、より有益なものとすることを考える時ではないか

 ――これから日本は世界にどう貢献していくべきでしょう。

 「集団的自衛権の行使に道を開こうとする安倍晋三首相の努力を評価したい。防衛協力の指針改定に基づく日米同盟の深化は極めて重要だ。集団安保体制の強化が侵略や攻撃の抑止力になる」

(聞き手はワシントン支局長 小竹洋之)

=おわり

 Brent Scowcroft 米軍出身。共和党のフォード政権とブッシュ(父)政権で、国家安全保障担当の大統領補佐官を務めた。現実主義の外交・安保戦略で冷戦終結に貢献した。90歳



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