戦略を聞く お金どう使う(1)国際競争にらみ大型投資 三菱地所社長 杉山博孝氏 2015/06/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「戦略を聞く お金どう使う(1)国際競争にらみ大型投資 三菱地所社長 杉山博孝氏」です。





 業績の改善が続く中で、市場の注目はいかにお金を活用して企業価値を向上させていくかに集まってきている。資金をどう調達して、配当や自社株買いといった株主還元とのバランスをとりながらどのように投資を利益に結びつけるのか。主要企業の経営トップに足元の収益環境とお金の使い方について聞いた。第1回は三菱地所の杉山博孝社長。

 ――2016年3月期は減収減益見通しの一方で、物件取得を含めた投資額は前期比8割増の3200億円の計画です。

 「今期はもともと丸の内再開発の端境期にあたっており、利益が伸びにくいことがわかっており、投資と足元の業績とは切り離している」

「足元ではアベノミクスでオフィス需要が伸びている。ただアジアの他の都市との国際競争は激しい。海外の都市に勝ち抜いて将来的にも需要を確保していくには、ビルを中心に街の競争力を従来以上の速度で高める必要がある。国際競争を勝ち抜き、先々の収益を確保するために決断した」

 ――具体的な投資案件はどんなものですか。

 「オフィスビル関連が中心だ。建て替えや増築といった再開発で前期から2.3倍の1480億円を投じる。東京・大手町地区のほか、10月に完成予定の大名古屋ビルヂング(名古屋市)などの大型案件がある。来期までの3年間の中計で投資総額は最大9千億円と前中計より4割増やすつもりだ」

 「今回は海外投資も新たな柱に育てるべく特に力を入れたい。投資の大半は欧米で、前期から約7割増やし570億円。ロンドンのシティー中心部での再開発事業のほか、米国ではニューヨーク郊外での大型複合施設の開発も手掛けていく

 ――一方で有利子負債は前期末で約1兆9300億円と高水準です。

 「調達は銀行融資などで対応する。有利子負債から手元流動性を除いた純有利子負債は今期、2兆200億円と前期から2割弱増える。ビル賃貸事業は安定的で、物件売却でも資金は調達できるが、今は財務体質強化より成長投資を優先したい。調達金利も低い。増資は考えていない」

 ――今回の大型投資はどう業績に結びついてきますか。

 「進行中の大型プロジェクトの多くは、中計最終年の17年3月期に完成する。減価償却費や税金費用はあるが18年3月期から貢献する。大手町1丁目の再開発ビル群などが通期で稼働すると18年3月期以降は営業利益を現在から段階的に150億円程度押し上げるとみる」

 ――丸の内地区以外にも積極的投資をします。

 「顧客ニーズに対応し、東京・四谷地区などの再開発にも取り組む。商業施設や物流施設など多角化を進め、収益性を維持する。経営指標として考えているEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)に基づく総資産利益率(ROA)で5%以上が目標だ」

 ――前期は7期ぶりに増配を実施しました。

 「増配を決めたのはビル賃貸市況の回復で、業績を安定的に成長させられる見通しが立ったからだ。連結配当性向は25~30%を目安にしている。安定配当を考えているが、利益の拡大に合わせて中期的には更なる増配も狙っていきたい」



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