戦略を聞く 富士フイルム・古森重隆会長兼CEO 成長と株主還元、両立に挑む M&A使いROE7%へ 2015/07/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「戦略を聞く 富士フイルム・古森重隆会長兼CEO 成長と株主還元、両立に挑む M&A使いROE7%へ」です。





 富士フイルムホールディングスが成長と株主還元の両立に挑んでいる。2017年3月期までの3年間でM&A(合併・買収)に4000億~5000億円を投じながら還元額も増やす。16年3月期の業績計画は過去最高の水準だ。市場に目配りした新たな成長の青写真をどう描くのか。古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。

 ――中期経営計画では積極的なM&Aと2000億円強の株主還元を打ち出しました。

 「(フィルム市場がなくなる)大激動の時代から会社を変革したのが第1フェーズだとすると、今は第2フェーズだ。新事業の収益力が向上し積極的に株主還元できるようになった。3年間で、合計800億円強の配当(14年3月期までの3年間で602億円)と1500億円の自社株買いで総額2300億円強の還元を計画している」

 「M&Aは医薬品などのヘルスケア分野と複合機などのドキュメント分野が軸だ。3~5年で自己資本利益率(ROE)や売上高増加といった具体的な効果が出る案件をやりたい」

 ――なかでもヘルスケアに力を入れています。

 「治験中のアルツハイマー治療薬に期待している。現在、医療機関で使われている認知症の薬は発症を遅らせるものだ。新薬は治療効果を目指している。認知症に関連する社会的コストは世界で年100兆円ともいわれ、新薬への期待は高い。4~5年後に発売したい。発売すれば当社は成長の第3フェーズに入る」

 ――再生医療にも注目が集まっています。

 「高品質のiPS細胞を研究機関に供給している米ベンチャー企業を買収した。当社はグループで細胞を培養する素材や、患者の細胞を使った再生医療品を手掛けている。これでiPS細胞を使った再生医療に必要な技術がそろった」

 ――中計で掲げるROE7%(前期は5.6%)は高い目標です。

 「ROEを計算する分子にあたる連結純利益は1200億円が目標だ。ここにはM&Aの効果を織り込んでいない。計画策定時と比べて円安も進んだ。分母の自己資本は配当や自社株買いで増加を抑える。達成のメドはたっている」

 ――総資産回転率が低下しています。

 「素早い構造改革のためにはM&Aが必要で、00年から7000億円強を投じてきた。買収する会社の価値に(ブランド価値に相当する)『のれん』を上乗せするから資産が膨らむのは仕方ない面がある

 「成長持続には利益を圧縮してでも研究開発費を投じなければならない。危機に備えた一定の資本も必要だ。ROEを重視しすぎて経営破綻した企業もある。成長投資と株主還元のバランスを重視していきたい

(聞き手は中尾良平)

<市場の声>ヘルスケアなどの収益貢献カギ

 精密関連のなかで日経平均株価の値動きを上回る数少ない銘柄だ。デジタルカメラ市場は低迷するが、ヘルスケアやドキュメント分野を中心に明確な成長戦略を打ち出している点が投資家に評価されている。

 ただ、PBR(株価純資産倍率)は液晶パネル用フィルムの不振が伝えられ、解散価値とされる1倍を下回る。株価が6月3日の年初来高値を超えて上昇するには「抗アルツハイマー薬や再生医療など新規事業の収益貢献への道筋を示す」(野村証券の和田木哲哉氏)ことが必要になる。



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