戦略を聞く JT、蒸気たばこ挽回へ大規模投資 日本たば こ産業社長 小泉光臣社長 2017/1/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「戦略を聞く JT、蒸気たばこ挽回へ大規模投資 日本たばこ産業社長 小泉光臣社長」です。





 日本たばこ産業(JT)の経営環境が急速に変化している。日本国内で米フィリップ・モリスの煙が出ない蒸気たばこ「アイコス」が急成長し、従来型の紙巻きたばこの強敵となっている。海外では英大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)と米2位のレイノルズ・アメリカンが経営統合で合意し、新たなライバルが誕生する。どう迎え撃つのか。小泉光臣社長に戦略を聞いた。

 ――2016年12月期の業績は好調でした。今期はどうでしょうか。

 「前期は『ナチュラル・アメリカン・スピリット(アメスピ)』が国内で貢献した。同ブランドの米国外事業を16年に米レイノルズから買収したものだ。年間販売は目標の20億本台後半を達成できたようだ。海外では欧州が伸び、秋以降の円安で海外収益が押し上げられた面もある。抗エイズウイルス(HIV)薬の寄与で医薬品事業の営業利益は過去最高となったもようで、バランスのいい収益構造になってきた」

 「今期は読みにくい。足元の円安はトランプ政権に対する期待先行の感がぬぐえない。シェア首位の英国では喫煙リスクの明示を求める規制が強化される。販売はやや減りそうで、値下げ競争も起こるかもしれない。英国が欧州連合(EU)を離脱する影響も読み切れない。業績計画の数字は2月の決算発表ギリギリまで詰めるつもりだ」

 ――蒸気たばこアイコスにどう対抗しますか。

 「アイコスはたしかに脅威だ。同商品の伸びで、前期は国内販売見通しの下方修正を迫られた。アメスピの販売まで減るとの見方が一部にあるようだが、それは杞憂(きゆう)だ」

 「JTも蒸気たばこ『プルーム・テック』を大都市圏で発売する。吸う際の手間がかからず、香りも自然だ。供給体制の整備へ、静岡県の工場に数百億円規模の投資をすると公表した。これは最低限の数字で、需要次第で上乗せする。プルーム・テックは今後3年程度で黒字化をめざす」

 ――財務面への影響をどうみていますか。

 「株主資本が負債の約2倍あり、かなりの投資でも財務は大して傷つかない。もっとレバレッジを効かせてほしいと一部の投資家から指摘されてもいる。後顧の憂いがない規模の投資をしようと思っている。ただ、政府保有株(発行済み株式の約33%)が放出された際には自社株買いで吸収したいので、相応の現金は残しておくつもりだ」

 ――英BATと米レイノルズが経営統合します。M&A(合併・買収)戦略をどう考えていますか。

 「業界再編につながるような大型買収は難しくなってきた。今後は新興国での買収など地域的拡大につながるものが中心になるだろう。蒸気たばこや電子たばこなどの新分野では、ベンチャー企業なども対象に新たな案件を狙っている」

◆記者の目 M&A軸の成長戦略は困難に

 JTは巧みなM&A(合併・買収)で成長を続け、たばこ業界で世界3位にまでのぼり詰めた。だがここまでくると、独禁法の絡みもあって新たな大型案件は見つけづらい。「M&Aを軸とした成長戦略は厳しくなっている」(野村証券の藤原悟史氏)のが現状だ。

 新たな成長領域として有望視される蒸気たばこではやや出遅れている。株価は昨年11月に昨年来安値を付け、足元も軟調だ。「次の成長戦略」を市場は求めている。

(川路洋助)



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