投信「毎月分配型」曲がり角 運用難、シェア低下 2016/05/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の金融面にある「投信「毎月分配型」曲がり角 運用難、シェア低下」です。





 国内の投資信託で主流の「毎月分配型」が曲がり角に差し掛かっている。株式投信全体に占める純資産の比率は4月に45%と10年ぶりの低水準になった。世界的な低金利で運用難が深刻になり高い分配金の支払いが難しくなったためだ。分配金の減額や、元本を取り崩し分配金とする投信も増えている。証券・運用業界では、長期の資産形成につながる投信に切り替えてもらおうと懸命だ。

 毎月分配型は月ごとに決算し投資家に分配金を支払う投信だ。初めて登場したのは1997年で主に利回りの高い外国債券で運用し、安定した分配金が退職世代の人気を集めた。11年には株式投信に占める比率が7割に迫った。現在の純資産残高は約35兆円になる。

 毎月分配型の投信を約500万円保有する埼玉県在住の山内智子(82)さんは「年金はわずかなので月々の生活費の足しにしている」と話す。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は「老後世代では毎月の安定した分配金に安心感を覚える投資家が多い」と語る。

 毎月分配型への資金流入は昨年後半、急速に細り始めた。世界で株式相場が下落し金利低下も進んだ。日銀のマイナス金利政策も運用悪化に拍車をかけた。次第に運用収益だけでは安定した分配金を賄いきれなくなる。

 投信の分配金は「普通分配金」と「特別分配金」に分けられる。この特別分配金が元本払戻金だ。ある外資系運用会社の首脳は「元本を取り崩してでも安定収入を求める顧客は少なくない」と説明するが、元本を払い出せば投信の価値が目減りし基準価格が下落する。

 運用業界は高分配からの脱却を探る。三井住友アセットマネジメントは元本を大幅に減らさないような分配金の基本方針を決めた。みずほ投信投資顧問も運用利回りが悪化した場合は「分配金引き下げの要因となるケースがある」としている。

 金融庁の幹部は「若年層の資産形成に適した投信が主軸になってほしい」と話す。証券各社は顧客から運用を一任してもらう「ラップ口座」を長期運用の柱に位置づけ営業に懸命だ。株価指数などに連動し手数料が安い上場投資信託(ETF)に期待する声もある。

 世界的な低金利時代に入り運用環境は様変わりした。もはや安定した高分配の維持は困難だ。証券会社や運用会社は過去の成功体験にとらわれず新たな商品を普及させる必要に迫られている。

(川上穣、井川遼)



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