投資の新潮流(1) 荒れる相場「変動率」が支配 安全志向が生む不安定 2016/04/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「投資の新潮流(1) 荒れる相場「変動率」が支配 安全志向が生む不安定」です。





 年明けから波乱に見舞われた世界のマーケット。従来の常識ではとらえきれない新たな力学が市場を支配し始めた。

何にでも触手

 なぜ株式相場は荒れるのか。日経平均株価の月間の高値と安値の差はこの1年の平均で1600円台と、2008年のリーマン・ショック後も上回る。米国株も値幅が広がっている。犯人としてやり玉に挙がるのが、資産を渡り歩く変わり身の早い投資家の一群だ。

 株や債券のほか資源やコメ、ミルクまで値段がつくものに何でも投資する。ヘッジファンドの一種で、「CTA」(商品投資顧問)と呼ばれる。

 貪欲に利益を求める一方、資産を選ぶ際の基準は安全志向だ。注目するのは一つの指標、値動きの荒っぽさを示す価格変動率(ボラティリティー)。これが一定の水準を超えるとリスクが高まったと判断し、資産を自動的に減らす。一気にゼロに落とすこともある。

 「危機時でもリターン(収益)を上げるのが我々の役割だ」。資産2兆円、世界2位のCTA、英マンAHLのティム・ウォン会長はこう話し、相場波乱の犯人との批判も意に介さない。運用する市場は400超。あらゆる資産の変動率を24時間体制で監視する。

 こうした変動率に着目した運用は実はCTAに限らない。日本の投資家にも浸透しつつある。

 2月8日。DIAMアセットマネジメントの公募投信を運用する星野元伸氏のパソコンに警戒サインが点灯した。日銀によるマイナス金利政策で金利の動きが不安定になり、コンピュータープログラムが「国内債券の運用リスクが高まった」と判断したのだ。星野氏はすぐさま債券を売り、現金の比率を増やした。

 世界の投資家は08年のリーマン・ショック後、相場急落による損害をどう最小限にとどめるのか、知恵を絞ってきた。様々な価格の動きを分析し、行き着いた先が変動率を指標にすばやく運用リスクを抑える手法だ。

資産総額130兆円

 米JPモルガン・チェースの推計でCTAを含め変動率をモノサシに投資するファンドの資産総額は約130兆円に及ぶ。日本の公募投資信託の残高を上回る規模だ。

 金融危機をきっかけに急速に普及したリスク管理手法。「これがかえって市場を不安定にした」と、JPモルガンのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は言う。多くの投資家が同じ手法でリスクを察知するようになると、市場は一方向に動きやすくなる。年明け後の相場にもそんな傾向がうかがえる。

 金融危機後の規制強化も荒れる相場の一因だ。「かつては急落時に買い向かうこともできたが……」。BNPパリバ証券の岡沢恭弥グローバルマーケット統括本部長はもどかしさを感じる。投資銀行の自己売買部門は規制の強化でリスクが取りにくくなったからだ。

 安全志向の高まりが不安定な相場を生む皮肉。投資手法の高度化が進んでも、リスクは形を変え市場につきまとう。



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